研究実績の概要 |
平成30年度は以下の研究項目を実施した. 1. 平成29年度に実施したシアリップ形成試験結果の分析:複数の温度,負荷応力で実施したシアリップ形成を伴う脆性亀裂伝播試験に手えられた破面を非接触型3次元形状測定機を用いて解析した結果を分析し,シアリップ厚さの定量化を行った. 2. 亀裂先端近傍応力場決定因子の解明:従前より実施していた有限要素解析を用いた亀裂先端近傍応力場の解析を引き続き実施し,非定常効果や速度による影響を取りまとめた. 3. 脆性亀裂アレスト予測理論モデルの開発:上記1,2の成果およびこれまで実施してきた研究の内容を統合し,物理的根拠に立脚した脆性亀裂アレスト予測数値モデルを開発し,その妥当性を検証した.その結果,従来の理論モデルのような非現実的な家庭を導入することなくアレスト現象を再現することができることが示された. 4. 透明樹脂を用いた3次元構造中の亀裂伝播観察:実験難易度,コストの観点から実験趣旨を変更することなく透明度が高い弾性体であるアクリル樹脂を用いた高速き裂に対する3次元構造因子の影響について実験的に調査を行った.
なお,当初想定していた3次元Application phase有限要素解析は計算コスト上現実的ではないことが研究途上で明らかになったことから実施せず,3次元効果についてはシアリップ形成試験結果を整理することに注力した.上記のうち,1の成果及び2,3の成果をそれぞれ取りまとめ2連報の論文としてすでに破壊力学に関する国際論文誌に投稿している.また,4については破壊に関する国際学会22nd European Conference on Fractureにて発表を実施済みである.
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