• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実績報告書

エスニシティとセクシュアリティ:イスラエルのピンク・ウォッシングを事例に

研究課題

研究課題/領域番号 17J07426
研究機関東京大学

研究代表者

保井 啓志  東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2017-04-26 – 2020-03-31
キーワードイスラエル / セクシュアリティ / ジェンダー / 性的少数者 / パレスチナ問題 / ヴィーガン / 動物の権利 / ナショナリズム
研究実績の概要

研究員は、平成30年度の研究テーマを『イスラエルの「新しい」権利を求める左派運動とナショナリズム・シオニズムの関連』とし、研究を進めてきた。前期と後期の二つの機関に分け、以下にその概要を報告する。
1.前期
昨年度に引き続き、エルサレムに長期に亘り滞在した。ヘブライ大学にて、学期、夏季集中の二つのヘブライ語コース(ウルパン)を受講し、ヘブライ語習得を進展させた。滞在中、6月、8月にテル・アヴィヴおよびエルサレムで行われた性的少数者に関する最大のイベントにてフィールドワークを行った。また、前年度までの研究成果を、日本中東学会刊行の中東学会論文に、「「中東で最もゲイ・フレンドリーな街」イスラエルの性的少数者に関する広報宣伝の言説分析」に投稿、受理された。
2.後期
研究員は、イスラエルでの現地調査と、前年度からの研究テーマおよびその周辺領域について、9月に日本に帰国したのちに2つの成果報告を行った。2018年12月16日に行われた、パレスチナ/イスラエル研究会で「テル・アヴィヴ、イェルサレム両都市におけるLGBTプライドの比較考察」の報告を行ったほか、2019年1月30日に行われた、イスラーム圏における「ジェンダー化された暴力/苦悩」第三回研究会において、「「LGBTフレンドリー」のその先:イスラエルの事例からLGBTポリティックスを問い直す」の報告を行った。これらの成果報告に並行し、12月1日に、本研究における先行研究であり、重要著作の一つであるIslam in Liberalismに関して、日本中東学会刊行の中東学会年報に書評を投稿、受理された。また、昨年度からの研究の方針を引き継ぎつつ、隣接地域であるイスラエルの動物の権利とヴィーガニズムに関する研究にその方向性を進展させた。この研究の遂行に関し、新たな先行研究の購読を進めつつ、3月にイスラエル人当事者にインタビューを行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上述の通り、イスラエルによる国際的な広報宣伝に関する考察に関しては、日本中東学会年報にまとめることができた。そのほか、本研究の先行研究であり重要文献と位置付けられるIslam in Liberalismについても書評としてまとめ、日本中東学会年報に投稿、受理された。また、アラビア語・ヘブライ語の習得に期待通りの進展が得られた。1年間にわたるイスラエルのイェルサレムへの渡航によって得られた現地資料及び知見は、帰国後いくつかの研究会で報告を行うことができた。しかしながら、かねてより進めていた動物の権利に関する先行研究の読解は、まだ途上であり、31年度も継続して研究を行う必要性がある。

今後の研究の推進方策

研究員は、本研究課題の遂行のため、以下の方策によって、研究を行う。
本年度は、前半部分においてイスラエルにおける動物の権利を求める動きに関する先行研究の読解及び、現地でのフィールドワークを並行して行ってゆく。後半部分においては、シオニズム・ナショナリズムに関する先行研究に集中し、初年度度から行ってきた性的少数者をめぐる運動と理論の分野と、前年度以降行ってきた動物の権利を求める動きに関する考察を統合する形でシオニズム及びナショナリズムの先行研究を批判的に読解してゆく。
これらの研究の遂行の為、
1.これまで研究を行ってきたジェンダーやセクシュアリティに関する議論、それから動物の権利に関する議論それぞれにおいて研究者が行ってきたシオニズム及びイスラエルのナショナリズムに関する結びつきを統合号して考察し、世俗主義全体を覆う大きなプロジェクトとしてのシオニズムという側面を浮き彫りにし、身体論にひきつけつつ議論を深める。
2.引き続き、ヘブライ語及びアラビア語の語学力のさらなる向上及び、一次資料の収集を重点的に行い、運動の細部をより明らか理解する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 「中東で最もゲイ・フレンドリーな街」――イスラエルの性的少数者に関する広報宣伝の言説分析2019

    • 著者名/発表者名
      保井啓志
    • 雑誌名

      日本中東学会年報

      巻: 34(2) ページ: 35-70

    • DOI

      10.24498/ajames.34.2_35

    • 査読あり
  • [学会発表] イスラエルの動物の権利に関する運動・ヴィーガニズム:ナショナリズムとパレスチナ問題の関わりから2019

    • 著者名/発表者名
      保井啓志
    • 学会等名
      日本中東学会

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi