ALAS2 遺伝子の変異に伴うX連鎖性鉄芽球性貧血は遺伝性鉄芽球性貧血の最も頻度の高い原因である。ALAS2遺伝子変異の1種類であるR227C変異をヘテロにもつXLSAの女性患者からiPS細胞を作製し、ALAS2遺伝子変異を有するX染色体が不活性化し、ALAS2遺伝子変異のないX染色体が活性化しているiPS細胞と、ALAS2遺伝子変異のないX染色体が不活性化し、ALAS2遺伝子変異を有するX染色体が活性化しているiPS細胞の2種類を作製している。 樹立した2種類のiPS細胞の造血分化能を評価したところ、造血前駆細胞への分化能は同等程度であった。しかし、さらに長期に赤血球分化を行うと、赤血球分化効率に差異を認めた。ALAS2遺伝子変異のないX染色体が活性化しているiPS細胞では健常人由来のiPS細胞と同等程度の赤血球への分化が可能であった。一方で、ALAS2遺伝子変異を有するX染色体が活性化しているiPS細胞では赤血球分化が不良であった。 今後、本モデルを用いてiPS細胞から分化誘導した造血細胞を用いた薬剤スクリーニングによる新規治療薬の探索を行う予定である。
|