研究課題
本研究では、医療サーベイランスが整備されていない発展途上国において、水系感染症リスクを定量することを主たる目的としている。第三年度は(1)電子端末を利用した簡便なサーベイランスシステムの適用と(2)そのシステムで回収された疫学データを解析する数理疫学モデルの発展を達成事項として設定した。(1)電子端末を利用したサーベイランスシステム予定していたベトナム現地での調査が実施不可になったため、同様のデータで解析をインターネットを通じた調査票調査で集積した(日本国内)。家庭内における単位接触あたりの感染確率を、年齢別・性別・衛生意識別に推定した。衛生意識が高い家庭では一次感染リスク(家庭外からの感染確率)を低減するものの、家庭内での二次感染リスクは低減されない結果となった。したがって、ノロウイルスのような感染力の高い感染症の場合、家庭内に感染者が発生するよりも前に、予防施策によって家庭への侵入を防ぐことが肝要であることが示唆された。さらに、感染しているが病状がない不顕性感染者を考慮した場合に、感染リスクの推定に必要なサンプルサイズも計算した(1万世帯オーダー程度)。(2) 数理疫学モデルの構築前述したようなモデルでは、平均的な感染リスクを推定するために、すべてのヒト個体が均質であるという前提条件を設けている。しかし現実には、感染のしやすさ(感受性)は個体により異なるため、そうした異質性を考慮する必要がある。申請者らは、人体実験から観測された感受性のばらつきを人口群レベルでの感染ダイナミクスへ組み込む数理的な手法を開発し、更に①そうした異質性が感染規模にどのような影響を与えるか②ワクチン接種による介入効果の定量を、ノロウイルスの実証データへ適用することで実施した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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