研究課題/領域番号 |
17J07735
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
Kim Jeonghyun 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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キーワード | Regeneration / Uterus / Embryo / Mechanical stimuli / Scaffold-free tissue / Decellularization |
研究実績の概要 |
平成29年度には、子宮再生のためのヒト子宮内膜細胞を用いて組織形成(Scaffold-free tissue; SFT)を行った。 Cell-cell interactionが強固なヒト子宮内膜細胞は3次元構造化形成化が困難であったが、独創的手法により3次元SFTを初めて実現した。こちらのSFTにラットの受精卵を共培養させたところ、受精卵の成長率が大幅に上昇した結果を得た。この内容は現在Nature communicationに投稿中であり、国際学会を含む複数の口頭発表を行なった。また、ラット 子宮内膜細胞を用いてもSFTを形成に成功して、Sprague Dawley Ratに移植実験を行った。その結果、短期間でもSFTがラットの子宮内膜に炎症反応なく再生していることを確認した。今後、再生子宮の妊孕性および胎児の妊娠率も評価する。また、これまで行ってきたヒト子宮内膜細胞への2次元実験を基本条件とし、このヒト子宮内膜細胞を用いた3次元モデルであるSFTに機械刺激(Flexcellを用いた周期的伸縮)を与える実験も行った。その結果、HOXA10、HBEGF、ITGB3など胎児が子宮内膜へ着床する時大きく発現する遺伝子が有意に上昇することを明らかにした。この結果は機械的刺激が着床に及ぼす重要な役割を担当しているかも知れないという可能性を表す。こちらのモデルを用い今後ラット子宮内膜細胞で再細胞化したラット子宮脱細胞担体でも同じ傾向が見られるか確認していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、子宮欠損や不妊の治療に向けて機械的刺激負荷と脱細胞化担体とを複合化することによる子宮組織の再生、および受精卵を着床状態に保持したまま子宮内膜に移植可能な子宮着床パッチを開発することを目的としていた。再細胞化した子宮脱細胞担体を用いるのが望もしいが、Flexcellで周期的伸展刺激を加えるのが困難であった。そこで、組織工学的アプローチによりヒトやラット子宮内膜細胞を用いて3次元構造化形成化(Scaffold-free tissue)に成功した。私は新しい3次元モデルを用いラットの子宮に移植実験を行ったところ成功的に子宮再生が行われた。また、子宮パッチ開発に必要なIn vitro実験も行った。その結果、SFTにラットの受精卵を共培養させたところ、受精卵の成長率が上昇するなどの優位な結果を得た。また、このSFTを用いFlexcellで周期的伸展刺激を加え実験も進んでいる。HOXA10、HBEGF、ITGB3など胎児が子宮内膜へ着床する時大きく発現する遺伝子が有意に上昇することを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
今後の課題として再細胞化した子宮脱細胞モデルへ周期的伸展刺激を加えられる実験系を改良・開発する。また、29年度に開発した新しい3次元モデルであるSFTを用い周期的伸展刺激を加えHOXA10、HBEGF、ITGB3などの遺伝子発現上昇が観察された中、この機械的刺激がIn vitro で受精卵の成長また着床に及ぼす影響などを調べる。同時に、SFTと脱細胞モデルの比較実験などをIn vitro, in vivoで行い、子宮再生また着床パッチ応用への妥当性を検証していく。これらの受精卵を用いたIn vitro実験またIn vivo移植実験をもとに、子宮着床パッチの開発を進めていく。
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