研究課題
本研究では、従来の半導体X線検出器より一桁以上良い分解能をもつ超伝導遷移端型マイクロカロリメータ(TES) を世界に先駆けてハドロン実験に導入し、J-PARCの大強度ビームと組み合わせることで、K-原子及びΞ-原子といったハドロニック原子の高精度X線分光を行う。これらの研究は低エネルギーQCDと中性子星の構造研究の飛躍的進展の鍵となると期待される。本年度は、K中間子ヘリウム原子の2p軌道の強い相互作用によるエネルギーシフト及び幅をTESを用いて精密に測定するJ-PARC K1.8BRでの実験に向けた準備を進めた。まず、ハドロンビーム環境下でのバックグラウンド低減のためにグループトリガーによるのデータ取得およびその解析手法を開発や、標準より開口率の大きなシリコンコリメータや磁気シールドを搭載することに成功し検出器立体角向上させた。さらには液体ヘリウム標的システムやシリコンX線検出器と同じ真空槽での安定動作を確立しした。ビームライン検出器のデータ取得システムの更新など含め、K中間子原子X線の物理データ取得にに向けた実験準備はほぼ完了しており、2018年6月にビームタイムが割り当てられ物理データを取得できる見込みである。さらには、将来のΞ原子実験を視野に100keV程度までの高エネルギーX線用TES検出器の開発へ向けた議論を進めた。Ξ原子実験はJ-PARC K1.8ビームラインで行うことが想定しており、同ビームラインでの経験を得るべく原子核乾板を用いたダブルハイパー核生成実験にも参加した。また、K中間子原子に密接に関連する物理として、K中間子原子核探索実験のデータ解析を進めた。Λ(1405)に関する物理データ取得も行った。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
IEEE Transactions on Applied Superconductivity
巻: 27 ページ: 1~5
10.1109/TASC.2016.2646374
JPS Conf. Proc.
巻: 17 ページ: 072001
10.7566/JPSCP.17.072001
巻: 17 ページ: 072003
10.7566/JPSCP.17.072003