研究課題/領域番号 |
17J07822
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
太田 啓示 東京農工大学, 大学院工学研究院, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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キーワード | 運動意思決定 / ベイズ決定理論 / 確率表象 / リーチング運動 / 神経経済学 |
研究実績の概要 |
スポーツの試合で本来の実力を発揮することが難しい理由として、成功確率は低いが成功すると大きな報酬が得られるハイリスクハイリターン行動を選択してしまう可能性が指摘されている。本年度はこのような運動の意思決定が非合理になってしまう原因として、1)自分自身の運動の誤差分散を正確に把握できないという仮説と、2)誤差分散と報酬情報との情報統合を正確に把握できないという仮説とを検討した。実験1において、被験者に各ブロック毎のリーチング運動の終末点分散を提示し、リスク下の運動課題を実施させたところ、被験者のリスク遂行方略に変化は見られなかった。この結果は1)の仮説を棄却するものの、実験2において、各試行毎に提示された確率分布をどこに設定するかを問う課題を実施したところ、徐々に最適な設定点への収束が見られた。この結果は、被験者の判断とその際に生じうる結果の確率分布、得られる得点、という3者関係が上手く結びつき判断の更新が行われるときには、最適な意思決定の学習が可能であり、1)の仮説を支持する可能性を示している。次年度以降、この点についてさらに検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究において確率分布提示下のもと、意思決定の改善が可能でないという結果と可能であるという背反する結果が得られており、両課題間の特性を考慮し今後の課題を検討する必要がある。また昨年度までに国内外の学会発表3件、和文総説1件の発表を行い、研究成果を広く公表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、最適な意思決定までの達成時間が確率分布についての情報量やフィードバック特性と関連するか検討を行う。またこれまで用いてきた運動意思決定の実験室課題を、タブレットやスマートフォンなどで実施できるアプリケーションを開発する。実験参加者をweb上で呼びかけアプリケーション課題を実施させることで大規模なデータ取得を試みる。
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