研究課題/領域番号 |
17J07842
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
谷口 彰 立命館大学, 情報理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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キーワード | ベイズ確率的生成モデル / 記号創発ロボティクス / 教師なし学習 / 概念形成 / 語彙獲得 / マルチモーダル |
研究実績の概要 |
本研究では、ロボットが環境を移動していく中で得られる位置、画像、言語情報といったマルチモーダル情報に基づき、自律的な場所概念の獲得および高精度な未知語の語彙獲得を可能とすることを目的として研究を行った。今年度では主として、1.場所概念と言語モデルの相互推定、2.画像情報と場所概念の統合、3.場所概念と物体概念の統合概念の形成について取り組んだ。
1.場所概念と言語モデルの相互推定の枠組みを提案し、語彙獲得の高精度化を実現した。また、場所概念と単語の間の相互情報量を用いることで、特定の場所に関連付いた特定の単語を判別することを可能とした。 2.ノンパラメトリックベイズ生成モデルの枠組みで地図生成および位置・音声言語に画像情報を統合した場所概念獲得モデルSpCoSLAMを提案した。SpCoSLAMに基づくオンライン学習アルゴリズムを構築し、移動ロボットに実装を行った。これにより、ロボットが場所の名前、空間領域、風景情報の相互補完的な推定を可能とした。 3.今年度では、統合概念形成のための前段階として、Cross-Situational Learningに基づく多様なカテゴリの形成と単語の関係性の学習を行う手法を提案した。具体的には、物体、色、位置、動作という4つの感覚チャンネルと“grasp green front cup”のような人からの発話から、各カテゴリを形成した上で単語とカテゴリの対応関係を推定することを可能とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1.の研究成果に関しては、相互推定手法により良好な結果を得られたため査読付き国際誌Robotics and Autonomous Systemsに投稿し採録された。 2.に関しては画像情報を統合するのみならずアルゴリズムのオンライン化も果たし、当該領域のトップ国際会議であるIROS2017にて発表した。 また、3.に関しては、概念と語意の学習に関して新しいCross-Situational Learning の手法を提案し、査読付き国際誌Frontiers in Neurorobotics に掲載された。何れも当該領域において高い水準のインパクトを持つ雑誌、会議であるといえる。 以上より、採用一年度において多くの研究成果をあげており、研究は当初の計画以上に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2.に関しては、オンライン学習のアルゴリズムにおいて推定精度の改善と計算量の削減を図り、長期的な場所概念の学習を可能とすることを目指す。 3.に関しては、Cross-Situational Learningの枠組みにおいて場所概念や物体概念のモデルを統合し、場所ごとに異なる物体を置いた環境で統合概念の形成を行うことを目指す。
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