研究課題
本研究の目的は,クローバー絡み目の辺ホモトピー分類を与えることである.分類を与える手段としてクローバー絡み目のミルナー不変量を用いる.ここで,n葉クローバー絡み目のミルナー不変量とは,n以下の自然数を項にもつ数列に対して定義される不変量である.解決すべき問題は,クローバー絡み目のミルナー不変量が辺ホモトピー完全不変量であることを示すことである.この問題を解決する為に当該年度(平成29年度)は研究計画に従い,クローバー絡み目に対するミルナー不変量の辺ホモトピー不変性を示すことに取り組んだ.数列Iに対して,r(I)をIの中に同じ数が現れる回数の最大値とする.例えば,r(1323221)=3である.当該年度の成果として次の結果を得た.「r(I)=mである数列Iに対して,クローバー絡み目のミルナー不変量は自己C_m同値不変量である.」特にm=1の場合は自己C_1同値は辺ホモトピー同値であるので,上記の結果の系として次が成り立つ.「r(I)=1である,すなわち項に繰り返しがない数列Iに対して,クローバー絡み目のミルナー不変量は辺ホモトピー不変量である.」当該年度は,新たに3編の査読付き共著論文が国際雑誌に掲載された.その他,国内の4つの研究集会(東京,大阪,名古屋,大阪)において本研究に関連する招待講演を行った.また,日本数学会2017年度秋季総合分科会(山形)においても講演を行った.さらに,米国と仏国に2週間程度ずつ滞在し,その間に米国では南アラバマ大学と南フロリダ大学,仏国ではグルノーブル・アルプ大学フーリエ研究所に訪問し,各大学の研究者との研究交流および本研究に関連する招待講演を3度行った.
2: おおむね順調に進展している
当初の研究計画通りに,当該年度に掲げた目標を達成することができたため.
クローバー絡み目のミルナー不変量が,辺ホモトピー完全不変量であることを示すことに取り組む.
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件、 招待講演 7件)
Algebraic & Geometric Toplogy
巻: 18 ページ: 2497-2507
10.2140/agt.2018.18.2497
Topology and its Applications
巻: 224 ページ: 60-72
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Journal of Knot Theory and Its Ramifications
巻: 26 ページ: 1750072 (9 pp.)
10.1142/S0218216517500729