研究課題/領域番号 |
17J08251
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
泉本 洋香 立命館大学, スポーツ健康科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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キーワード | 体幹筋 / 筋体積 / 左右差 / MRI / ゴルフスイング / クラブヘッドスピード |
研究実績の概要 |
スポーツにおいて体幹部は、投動作や打動作を行う際に、前屈・側屈・回旋動作を通して、下肢から上肢への運動をつなぐことから、スポーツにおいてより高いパフォーマンスを生み出すために重要な部位である。どの程度の体幹筋量や発揮筋力が、体幹動作やそこから生み出されるスポーツパフォーマンスに影響を与えるのかを明らかにすることで、打動作・投動作を行う際の最適な体幹動作や、その動作を行うために必要な筋形態の特徴が解明できると考えた。そこで、打動作の1つであるゴルフスイングに着目し、ゴルフスイング中の体幹動作を解析することで、複合的な体幹部の回転運動における最適な動作とその動作を可能する筋形態を解明することを本研究の目的とした。 2017年度は、ゴルフ熟練者を対象に、ゴルフパフォーマンス(クラブヘッドスピード)と左右の体幹筋(腹直筋・腹斜筋群・大腰筋・腰方形筋・脊柱起立筋群)の筋量および左右差率との関係について検討した。その結果、左右の筋体積については、脊柱起立筋および腰方形筋においてクラブヘッドスピードとの間に有意な相関関係が認められた。そして、左右差率については、大腰筋のみがクラブヘッドスピードと有意な相関関係にあることが認められた。ゴルフスイングは右側屈および左回旋動作を伴う動作であり、脊柱起立筋は、右側は右側屈、左側は左回旋を担う筋であることから、左右ともに筋体積の増加が高いクラブヘッドスピードの獲得につながることが考えられる。また、左側の大腰筋は、左の股関節屈曲による体幹部の左回旋に貢献することから、右に対する左の筋体積が大きいほど高いクラブヘッドスピードの獲得につながると考えられる。 以上のことから、より素早く、右側屈と左回旋を行うための筋の発達が高いクラブヘッドスピードの獲得と関係することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017年度の研究では、打動作の一つであるゴルフスイングに着目し、それを長期間繰り返し行っているゴルフ熟練者を対象に、筋の大きさやその左右差とゴルフパフォーマンス(クラブヘッドスピード)との検討を行った。より素早く、右側屈と左回旋を行うための筋の発達が高いクラブヘッドスピードの獲得と関係することが示唆されたことから、体幹の回転運動に必要な左右非対称な体幹筋形態についての知見を得られた。したがって順調に研究が進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度の結果を国際学会(8th World Congress of Biomechanics)での発表、および学術論文による投稿を行うことで公表する予定である。そして、今後は、実際のゴルフスイング中の体幹動作および体幹部の活動筋が、ゴルフ選手の体幹筋形態にどのように影響を与えているのか検討する。さらに、これまでの筋形態データと共に体幹部におけるゴルフスイング動作の特徴を考慮に入れた身体モデルを作成し、スイング時の体幹筋出力・筋量を特異的に変化させた順動力学演算を行うことで、体幹部の回転運動をより大きく、速く行うために最適なスイング動作と筋形態の解明をしていく。
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