現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
クリノスタットの研究では,緑豆をサンプルとして2 rpmで回転させながら栽培した.またコントロールは静置状態に置いた.栽培後,抗酸化作用を測定する試薬として知られるDPPH(2,2-ジフェニル-1-ピクリルヒドラジル)とABTS(2,2-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)を用いて抗酸化作用を評価した.クリノスタットで栽培した緑豆はコントロールよりもDPPHとABTS分解量が有意に増加したため,抗酸化作用が向上することが明らかになった.一方で,抗酸化作用が向上するメカニズムを解明するまでには至らず,今後の課題として残った. また,テラヘルツ分光法を用いてデンプン分解過程がモニタリングできるかを検討するため,デンプン標準品と凍結乾燥した発芽後2, 5, 8日の緑豆をペレットにして透過測定を行った.デンプン標準品では9.1, 10.5, 12.2, 13.1 THzにブロードなピークが見られた.また,発芽2日目の緑豆はデンプン標準品と同様なスペクトルを示し,9.1, 10.5, 12.2, 13.1 THzにピークが見られた.しかし,発芽5, 8日目ではピークが徐々に消えていった.この結果はTHz分光法を用いることで,多くの夾雑物を含む植物であってもデンプン分解をモニタリングできることを示唆している.さらに,アミラーゼを用いて緑豆サンプルのデンプンを加水分解すると9.1と10.5 THzのピークがなくなることが明らかになったため,これらの2つのピークはデンプン分解をモニタリングするのに適したピークと言える.そこで,ピークの二次微分値と化学分析で定量したデンプン量で検量線を作成した.9.1 THzのピークではr2 = 0.97と高い相関係数が得られたことから,テラヘルツ分光法が迅速で簡便なデンプン評価法として活用できる可能性が示された.
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