研究課題/領域番号 |
17J08477
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
山中 聡士 愛媛大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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キーワード | サリドマイド / CRBN / プロテインアレイ / タンパク質分解 |
研究実績の概要 |
薬剤開発において、タンパク質に作用する化合物の特異性は重要であるが、化合物が想定外に反応するオフターゲットを予見することは不可能である。もし薬剤開発の初期段階において、化合物と想定外タンパク質の相互作用を評価することができれば、化合物の修飾展開などにより想定外タンパク質への相互作用を回避した特異性の高い化合物の開発が可能であると考えられる。しかしながら、これまで主流であった細胞抽出液を用いた評価系では、細胞間や細胞の状況に応じてタンパク質の種類や量に差異が生じていることや細胞内には様々なタンパク質が同時に発現していることなどから同定困難なタンパク質が存在していた。 本研究は、コムギ無細胞系によって合成された2万種のヒトプロテインアレイとモデル化合物サリドマイドを用いて化合物をベイトに相互作用するタンパク質を網羅的に同定できるインタラクトーム技術開発を研究目標にする。
本研究において、昨年度(平成30年度)は、サリドマイドに直接結合する新規標的タンパク質を見出すことが出来なかった為、サリドマイド依存的にCRBNと相互作用するタンパク質の探索を行った。ヒト転写因子プロテインアレイを用いたスクリーニングの結果、サリドマイド依存的にCRBNと相互作用する基質タンパク質として3種のタンパク質を見出した。さらに、培養細胞を用いた解析結果から、これらの基質タンパク質はサリドマイドやその誘導体依存的に分解されることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた、サリドマイドの新規標的タンパク質を見い出すことが出来なかった。しかしながら、同様の技術を用いてサリドマイド依存的なCRBNの相互作用因子を探索することによって、新規の基質タンパク質を見出すことに成功した。さらに、見出された基質タンパク質はサリドマイドの薬効や副作用に大きく関与していることが予想された。したがって、研究目標である低分子化合物の標的タンパク質を見出だすことに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
1. AlphaScreen法を用いて新規基質タンパク質におけるサリドマイド誘導体の相互作用解析を行う。 2.培養細胞を用いて、新規基質タンパク質がサリドマイド依存的にCRBNによって分解されることを示す。 3. 培養細胞およびAlphaScreen法を用いて新規基質タンパク質とCRBNの相互作用に重要なアミノ酸を同定する。 4. サリドマイド依存的な新規基質タンパク質の分解が、サリドマイドの薬効や副作用にどのように関与しているか、培養細胞やin vivoで解析する。
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