研究課題/領域番号 |
17J08763
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
會田 侑正 東京工業大学, 物質理工学院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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キーワード | ロジウム / [2+2+2]付加環化反応 / アルキン / カーボンナノベルト / ベンゾフルベン / トリプチセン / アセナフチレン / 不斉合成 |
研究実績の概要 |
本年度の研究では主として、カチオン性ロジウム触媒を用いた位置およびエナンチオ選択的な[2+2+2]付加環化反応によるキラルカーボンナノベルト(CNB)およびキラルトリプチセン誘導体の不斉合成を目的とし、検討を行った。 (1)テトラインと環状ジエンとの位置およびエナンチオ選択的な[2+2+2]付加環化反応を鍵とするキラルCNBの合成 上記(1)において、モデル基質を用いて検討を行った結果、カチオン性ロジウム(I)/xyl-Segphos錯体触媒が[2+2+2]付加環化反応に対し高い活性および選択性を与えることがわかった。さらに低収率ながらも、キラルCNB合成に必要な条件をすべて満たす基質デザインを見出した。また、環状ジエンの合成にも取り組み、低収率ながらも目的化合物を得ることに成功した。さらに、カチオン性ロジウム(I)/BINAP触媒を用いた非対称ジインと対称1,2-二置換環状アルケンであるナフトキノンとの[2+2+2]付加環化反応に続く酸化的芳香族化反応がワンポットかつ温和な条件下にて進行するという初期的知見が得られた。 (2)ジインとアセナフチレンとの不斉[2+2+2]付加環化反応を鍵とするキラルトリプチセン誘導体の合成上記(2)において、目的の反応は進行しなかったものの、カチオン性ロジウム(I)/BINAP触媒を用いた非対称α,ω-ジインと対称1,2-二置換環状アルケンであるアセナフチレンとの不斉[2+2+2]付加環化反応において、不斉発現の機構が用いるジインの構造に大きく依存し、我々が以前報告したインデンを用いる系と比較して反対の傾向を示すということを見出した。また、興味深いDiels-Alder付加体を得ることができた。 以上の研究において、カチオン性ロジウム(I)/ビスホスフィン系錯体触媒の優れた特性を最大限活かすことにより、高選択的な新規反応の開発に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的化合物の合成には至らなかったものの、カチオン性ロジウム(I)/ビスホスフィン錯体触媒を用いた、(1)モデル基質を用いた高選択的[2+2+2]付加環化反応を開発および低収率ではあるものの基質デザインの最適化/環状ジエンの合成に成功し、(2)非対称ジインとナフトキノンとのワンポット[2+2+2]付加環化/酸化的芳香族化反応が進行するという初期的知見が得られたため、当初の計画にあるキラルCNBの不斉合成法の研究に関して進展があった。
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今後の研究の推進方策 |
キラルCNB合成に必要な条件をすべて満たす基質デザインの最適化において、収率の向上を目指し、反応条件、基質適応範囲などのより詳細な検討を行う。さらに、実際に用いるテトラインの合成および環状ジエン合成における収率の向上と、開発した鍵反応を用いたキラルCNBの合成に取り組む。 また、当初の計画にはないが、初期的知見が得られたカチオン性ロジウム(I)/BINAP触媒を用いた非対称ジインと対称環状アルケンであるナフトキノンとのワンポット[2+2+2]付加環化/酸化的芳香族化反応を鍵とするキラルCNB合成を検討する。 また、得られたキラルCNBの化学/結晶構造および物性解明、機能創発を行う。
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