研究課題/領域番号 |
17J08955
|
研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
重信 颯人 琉球大学, 琉球大学大学院理工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
|
キーワード | 多目的最適化 / V2H / V2G / デマンドレスポンス / 組合せ多目的最適化 |
研究実績の概要 |
研究は「再生可能エネルギーが大量連系されたスマートコミュニティの最適運用計画と実現」を促進するために、不確実性を含む将来の次世代電力運用者に対して、1.多様な解を提供できる多目的最適化手法の開発および評価、2.電力系統と電力市場の解析が可能なモデルの作成, 3.次世代配電系統における電気自動車(EV)の役割とV2HとV2Gによる有効無効電力制御の定量的評価を達成目標として研究を行った。 研究1では特に多様な消費形態を達成するため、系統設計者または消費者目線でのトレードオフの関係を可視化することを一般的な多目的最適化手法の適用により達成した。 研究2では、再生可能エネルギーが大量連系された配電系統モデルの制作と日本卸電力取引「JEPX」の電力価格予測を組み込んだ配電系統モデルを製作した。この電力系統モデルと電力の価格弾力性の特性により、価格ベースのデマンドレスポンス効果を定量的に評価した。これにより、上げ下げのデマンドレスポンスによる負荷の平準化が期待されたが、消費者の不確実性の対処が課題となった。 研究3ではEVが電力系統の調整力として資する運用方法の検討を行った。消費者の行動を考慮したV2HとV2Gは充電率とインバータ制約をもとに、再エネが大量連系された配電系統の運用計画の最適化を行った。75%程度の電力損失削減と追加的な制御機器を導入せずに電圧の逸脱を解消できたことより、十分電力系統の安定性維持に貢献することを示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上記の研究実績概要は、学術論文誌への掲載と複数の国際または国内学会にて発表した。申請当初の計画では、達成した実績の2/3程度が今年度の実施計画であったが、基礎的な電力系統モデルの簡略化や最適化手法の開発に伴い、当初の計画以上に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年度は低コストHEMSの試作とその機能開発に努める。HEMS製作では研究実績より得られた多様な消費形態のための解の提供をもとに、消費者が選択可能な範囲で最適な運用計画を提供する機能開発を目的とする。また電力系統および一需要家のシミュレーションにおいては、通常時および災害時シミュレーションを行い、エネルギー確保に資するシステム構築を検討する。
|