研究課題
本研究は、過去に大気中の二酸化炭素濃度が上昇し、海洋表層の酸性化が進行した「最終退氷期」に着目し、酸性化が浮遊性有孔虫の骨格形成にどのような影響を与えたのかを復元することを目的としている。本研究の目的を達成するためには堆積物中の有孔虫化石から酸性化影響を読み解く指標が必要であるが、従来の研究で利用されてきた殻重量指標は有孔虫の死後、溶解によって指標が歪められるため、海洋酸性化影響の定量的な評価が不可能であった。そこで本研究はマイクロフォーカスX線CTスキャナ(以下MXCT)を利用した有孔虫殻密度測定を新たに導入し、浮遊性有孔虫が殻形成時に受ける影響と、死後の溶解による影響を切り分けて評価する手法の実用化に取り組んでいる。令和元年度は、MR14-06航海で北太平洋亜寒帯域において採取したプランクトンネット試料中の現生浮遊性有孔虫および北太平洋西部で採取した海底表層堆積物中の浮遊性有孔虫化石の殻密度測定をMXCTを用いて実施し、そのデータ解析を行った。またMR16-09航海において南大洋チリ沖で採取したピストンコア試料についてMXCTによる有孔虫殻密度測定を実施し、最終氷期極大期以降の浮遊性有孔虫の殻密度変動を世界で初めて定量的に復元した。上記の研究成果を公表するために筆頭論文を2本国際誌に掲載したほか、国内の学会において成果発表を行った。さらに、今後の研究の発展を見据えて、南大洋で実施された国際深海科学掘削計画(IODP Exp.383航海)に参加し、より古い年代まで遡ることが可能な堆積物コア試料の採取を行った。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)
Scientific Reports
巻: 9 ページ: 1-9
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Geochemistry, Geophysics, Geosystems
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