研究実績の概要 |
前年度に引き続き金属秩序NiAs型構造をニクタイド以外の物質群に拡張する目的で新物質探索を行い、新規カルコゲナイドSb2MnTe4の合成に成功した。Sb2MnTe4はPn2MTe4 (Pn = Sb, Bi and M = Ge, Sn, Pb, Mn)という物質群に属する層状化合物である。Sb2MnTe4に対して磁化・比熱・中性子回折測定を行ったところ、25 K以下で強磁性的な振る舞いを示すことが分かった。このような磁気基底状態は同じ構造を持つBi2MnTe4の反強磁性秩序とは大きく異なっており、それとは異なった電子状態が期待される。実際、このような期待のもと第一原理計算を行ったところ、磁性第二種Weyl半金属と呼ばれる、新しい種類のトポロジカル半金属である可能性が示唆された。さらに、固溶体 (Sb1-xBix)2MnTe4 (x = 0, 0.1, 0.2, 0.25, 0.3, 0.4, 0.5, 0.6, 0.8, 1)の合成を行い、詳細な磁気・温度相図を作成した。 以上の他にも、新規オキシカルコゲナイドの合成に成功しており、それぞれの結果に関する論文を執筆中である。
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