研究課題
・先天性心疾患患者の網羅的ゲノム解析と情報科学的解析による候補遺伝子探索、さらにはアンチセンスモルフォリノによるスクリーニングを経て、これまでヒト疾患との関連が明らかになっていなかった遺伝子LZTR1およびDNAH10を疾患関連遺伝子として同定した。ゼブラフィッシュ胚およびマウス受精卵のゲノム編集を行い、上記遺伝子の変異体を作成し、in vivoにおける同遺伝子の機能解析を展開した。・LZTR1遺伝子改変ゼブラフィッシュのヘテロ欠失体同士の交配により、ホモ化に成功した。組織学的解析によって、LZTR1ホモ欠失体の心臓表現型は患者病態(円錐動脈幹奇形に伴う、心室肥大)を忠実に再現していた。・さらに免疫組織染色によって、遺伝子Xの下流シグナルの一つとして、ERKを同定し、本疾患のRAS/MAPK症候群(Noonan症候群類縁疾患)とのオーバーラップが示唆された。・一方、DNAH10遺伝子改変マウスのF0個体は不妊となり、系統維持・継代が困難であった。仕方なくF0個体を解析することとなったが、残念ながら遺伝子Y改変F0マウスは目的の患者表現型(内臓錯位)を呈さず、疾患原因遺伝子としての証拠を掴むことは出来なかった。・in vivo機能解析の結果を受け、現在はLZTR1タンパクのパートナー因子について、リコンビナントタンパク合成とそれを用いたプルダウンアッセイの準備を進めている。・また、本疾患モデルゼブラフィッシュから得られる単離心筋細胞は、哺乳動物のそれと異なり、中長期培養、薬剤刺激、RNA阻害実験に適しており、RAS/MAPK症候群関連心臓病の細胞レベルの病態生理を解析する上で、最適なプラットフォームを提供してくれる。現在、細胞エネルギー代謝が細胞機能・表現型を規定する、という作業仮説に基づき、RAS/MAPKの単離心筋細胞エネルギー代謝異常と機能連関の解析を行っている。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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