研究課題/領域番号 |
17J09262
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山口 大輔 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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キーワード | 自己組織化 / 物理ゲル / 液晶 / 自己組織性ファイバー |
研究実績の概要 |
分子の自己組織化を利用してナノからマイクロスケールの構造を分子レベルで精緻に制御する技術は有機機能性材料構築において極めて重要である。物理ゲルは分子間相互作用によりナノスケールの一次元構造からなる三次元ファイバーネットワークを自己組織的に構築する。機能性部位を導入した低分子ゲル化剤を用いることで、分子の自己組織化により機能性部位を集積させた様々な刺激応答性ソフトマテリアル開発が行われている。本研究課題では、有機ラジカル分子の集積構造を分子レベルで制御することで強磁性材料の開発を目指している。 また分子の集積構造に加え、巨視的な材料構造が様々な機能発現に寄与している。加藤研究室では、低分子ゲル化剤と液晶分子を複合化した液晶物理ゲルを開発し、新たな自己組織性ファイバーの配向制御手法を開拓している。有機ラジカル分子からなる一次元状集合体の巨視的構造を自在に制御することが強磁性材料開発においても重要だと考えられる。昨年度は配向ネマチック液晶中でのゲル化剤分子のファイバー形成条件を検討することにより、ファイバーの巨視的なモルフォロジーの制御に成功している。 当該年度は、層構造を有する液晶である配向スメクチック液晶中でのゲル化剤分子のファイバー形成条件を検討することによりさらなる高度なファイバーの配向構造制御を試みた。厳密な温度制御によりスメクチック液晶中で液晶分子に対する繊維状ファイバー集合体の配向方向を変化させることに成功した。温度による液晶構造の秩序性の違いがファイバーの伸長方向に影響していると考えられ、より詳細な解析が必要であるが、同一のスメクチック液晶とゲル化剤の組合せで自己組織性ファイバーの配向方向を変化させた例は他になく、自己組織性繊維材料の複雑な繊維構造の構築と高度な機能制御のための新たな材料設計指針となると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の研究では、最終的な目標である有機ラジカル分子からなる機能性材料の開発への途上であるが、スメクチック液晶中での自己組織性ファイバーの形成過程の究明によるファイバーの配向の制御に成功している。この研究結果は自己組織性ファイバーからなる機能性ソフトマテリアル開発において、自己組織性ファイバーの精緻な構造制御による高度な繊維構造材料の構築と機能発現につながることが期待できるため、当該年度における研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度の研究において、動的な液晶の層秩序を精密に制御することで、液晶中での自己組織性ファイバーの伸長方向を制御することに成功した。今後は、当該年度に得られた液晶秩序と自己組織性ファイバーの伸長に関する知見を3次元空間に拡張することで、新たな繊維構造材料の構築および新規な機能発現を目指す予定である。
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