研究課題
親子関係という文脈における介護体験理解は不十分であり,日本での体系的な介護者支援はほぼ存在しない。そこで本研究は,家族発達的視点から長年の親子関係に基づく介護の意味を明らかにし,介護者向け心理援助プログラムを提案することを目的としている。今年度は,前年度から継続して行っていた3つの質的研究と1つの量的研究を完了させ,その他の研究を含めて博士論文にまとめた。まず,介護の意味づけに焦点を当てて行った質的分析を修正投稿し,査読付き論文誌に掲載された。次に介護態度に注目して行なった質的分析を投稿し,修正再査読となった。さらに,家族における介護を立体視する目的で,介護者の子の体験を描出することを目的とした質的分析結果を国内学会にて報告した。質的研究で抽出した2つの概念(介護の意味づけ・受容/介護態度)の尺度化と,介護以前からの親子関係がこれらに与える影響について検討することを目的に実施した量的研究では,データ収集を終え統計解析を行った。この結果,介護受容尺度が作成され,介護以前からの親子関係における精神的自立と部分的に関連すること,その様相が母娘介護とその他の親子介護で異なることを示し,査読付き論文誌に掲載された。介護態度に関する内容も投稿準備中である。以上の研究成果をまとめた博士論文では,継続的に行ってきたケアラーズカフェでのフィールド調査経験もふまえ,介護以前からの介護者-要介護者関係に踏み込んだ介護者支援モデルを提案した。このように今年度は,3年にわたり実施してきた各研究を完成させて公開し,実践的サービスの提案につなげることで社会への還元を目指した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
応用心理学研究
巻: 45 ページ: 198-206
心理臨床学研究
巻: 37 ページ: 248-258
Aging Clinical and Experimental Research
巻: 31 ページ: 1807-1816
10.1007/s40520-019-01129-2