前年度の調査や機能検討を経て、今年度は、デザイン可能な電子楽器教材の実現に向けたインタフェースの開発とワークショップを用いた教材の評価を行った。 まず、デジタルファブリケーションを用いた凹凸マーカと高精細な圧力センサによるデザイン可能な電子楽器インタフェースを同学の博士課程学生と共同で開発した。その結果、実装の簡易性を損なうことなく、様々なジェスチャ認識を可能とする自由度が高いデザインスペースを実現した。加えて、日常物と組み合わせることでタンジブルなフィードバックもデザイン可能となった。 次に、大学生向けワークショップを用いて開発したデザイン可能な電子楽器インタフェースの検証を実施した。ワークショップは、東京大学の学部生・大学院生・研究員・教員8名が参加し、2日間合計約6時間で行われた。1日目にデザイン可能な電子楽器インタフェースの仕組みの説明と、アイディエーションを行った。2日目にインタフェースの開発と創作した音楽の演奏発表を実施した。短時間のワークショップであったが、参加者全てが、①システムにより取得できるパラメータの理解と活用、②様々な素材を組みわせた多様なインタフェースデザインの実現、③短時間でのプロトタイピングと演奏の実現を達成した。成果物の分析やインタビュー調査の結果、デザインの簡易性と高い自由度を実現していることが確認された。 今後は、最終年度の成果を教育工学分野の論文誌に投稿予定である。さらに、本システムを用いた教育実践研究を継続し、本研究を進展させていきたいと考えている。
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