研究課題/領域番号 |
17J09429
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
榊原 真理子 愛知県立大学, 国際文化研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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キーワード | 中国 / 小劇場演劇 / 現代演劇 / 比較文学 / 林兆華 / 孟京輝 |
研究実績の概要 |
本研究は、中国、とりわけ北京における、1980年代から新興した実験的な小劇場演劇を対象とし、およそこの30年間の創作の素材と感性を解釈し明らかにすることを目的とする。 本年度と次年度においてそれぞれ、中国小劇場演劇シーンを牽引した牟森(演出家、1963-)および孟京輝(演出家、1965-)を考察する計画であったが、先行して着手していた牟森についての論考は早期に論文投稿までを遂行できた。そのため、順序を若干入れ替え、本年度は再検討の余地のあった林兆華(演出家、1936-)をあらためて掘り下げ、論文を執筆した。林兆華も上記2人の演出家と同様に中国小劇場演劇の開拓者である。中国における不条理演劇の受容過程を解き起こすとともに、林兆華演出『三人姉妹・ゴドーを待ちながら』(チェーホフおよびベケット原作)を取り上げた。一般的には救世主と認識されるゴドーであるが、文化大革命終結後の中国において西洋の文脈を超えた「ゴドー待ち」へのアプローチが行われてきた中で、ゴドー像は救いある超越的な存在ではなく卑小化もしくは消滅していることを論じた。また、孟京輝も『ゴドーを待ちながら』を演出、再構想していたことに着目し、その創作および社会背景をたどり、中国演劇と西洋演劇の交錯の様相についても考察した。考察結果は、日本比較文学会中部大会において口頭発表を行った。孟京輝の経歴についてさらに資料を精査する余地がある点は、引き続き次年度に取り組むこととしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は若干の考察対象の順序変更はあったものの、おおむね計画に沿って国内および中国での資料収集と演劇公演鑑賞、論文投稿、学会報告を遂行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である次年度は、本年度口頭発表した孟京輝についてさらに資料精査を充実させた上で、中国の文化制度との連関についても掘り下げ、論文投稿までを遂行する。そして、これまでに達成した研究成果を総括し、博士論文提出を目指す。
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