研究課題/領域番号 |
17J09558
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
遠藤 京子 京都薬科大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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キーワード | イオンチャネル / pH感受性カリウムチャネル / T細胞 |
研究実績の概要 |
pH感受性カリウムチャネルK2P5.1は、関節リウマチや炎症性腸疾患(IBD)などの自己免疫疾患や各種癌において発現・活性が亢進し、病態の悪化に関与している。したがって、K2P5.1はこれら疾患の新規治療標的として注目されているが、選択的な阻害剤が未だ開発されていない。本研究の目的は、K2P5.1の発現・活性亢進が原因で発症している免疫疾患や癌における新規創薬戦略を提案、実証することである。2018年度は、研究項目①「K2P5.1/CD81タンパク間相互作用の生理的・病態的意義の解明」及び研究項目②「K2P5.1転写制御因子、エピジェネティック機構による発現・活性制御機構の解明」について検討した。 研究項目①に関して、ヒト白血病細胞株K562細胞において、CD81ノックダウンによりK2P5.1活性が抑制されることを既に明らかにした。本年度、CD81ノックダウン実験により、CD81がK2P5.1発現に影響を及ぼさないことを明らかにした。CD81はK2P5.1活性を正に制御する分子であることが推測された。これまで我々は、IBDモデルマウスのCD4陽性T細胞においてK2P5.1発現・活性が亢進することを報告してきた。本研究において、CD81がT細胞のK2P5.1活性亢進に寄与する可能性を示した。 研究項目②に関して、IBDモデルマウスのCD4陽性細胞において発現亢進が認められるカリウムチャネルのうち、カルシウム活性化カリウムチャネルKCa3.1はヒストン脱アセチル化酵素 (HDAC) を介した転写制御を受けるが、K2P5.1はHDACによる転写制御を受けないことを明らかにした。IBDにおけるK2P5.1発現制御機構について検討し、炎症局所における低酸素誘導因子HIF-1αを介したシグナル伝達経路がK2P5.1転写亢進を引き起こすことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度の研究項目は、①「K2P5.1/CD81タンパク間相互作用の生理的・病態的意義の解明」及び②「K2P5.1転写制御因子、エピジェネティック機構による発現・活性制御機構の解明」であった。研究項目①について、病態時におけるK2P5.1/CD81タンパク間相互作用の意義として、炎症性腸疾患 (IBD) モデルマウス由来CD4陽性T細胞において、K2P5.1及びCD81の発現が亢進することを明らかにし、IBD病態の悪化にK2P5.1/CD81タンパク間相互作用によるK2P5.1活性亢進が関与する可能性を示した。また、研究項目②について、IBDモデルマウスにおいて発現変動が見られたHDAC及びHIF-1αに着目し、IBDにおけるKCa3.1、K2P5.1発現制御機構を明らかにし、当初の計画通り研究が進展した。
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今後の研究の推進方策 |
研究項目①「K2P5.1/CD81タンパク間相互作用の生理的・病態的意義の解明」に関して、これまでの研究により、4回膜貫通型テトラスパニンファミリーのCD81がK2P5.1のC末端領域とタンパク相互作用すること、ヒト白血病細胞株K562細胞において、CD81ノックダウンによりK2P5.1発現に影響することなくK2P5.1活性が抑制されることを明らかにした。また、IBDモデルマウスの炎症性CD4陽性T細胞において、K2P5.1と同様にCD81の発現が亢進していることを明らかにした。しかし、CD81によるK2P5.1活性制御の分子機構は明らかでない。本年度はCD81によるK2P5.1活性制御の分子機構を明らかにするために、全反射照明蛍光顕微鏡や超解像度蛍光顕微鏡を使用してCD81ノックダウンによる細胞膜K2P5.1分布変動を強制発現細胞系、K562細胞、IBDモデルマウス由来CD4陽性T細胞を用いて可視化解析する。 研究項目②「K2P5.1転写制御因子、エピジェネティック機構による発現・活性制御機構の解明」に関して、IBDモデルマウスの炎症性CD4陽性T細胞におけるK2P5.1発現・活性亢進に炎症局所における低酸素誘導因子HIF-1αシグナル制御が関与することを明らかにした。本年度は、薬理学的手法を用いてHIF-1αシグナルを介したK2P5.1発現制御の分子機構を明らかにし、K2P5.1発現制御に関与するHIF-1α下流シグナル分子群を同定する。また、K2P5.1関連疾患におけるそれら分子の病態生理学的意義を解明する。
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