今後の研究の推進方策 |
今回見出した反応系は最終目標であるPPI解析法への応用ができなかった。そこで新たな触媒反応の開発をおこなう。具体的にはチオウレア触媒を用いた水中でのエポシキドの開環反応(Chem. Commun., 2006, 4315.)を参考に、新たな反応系を確立する。エポキシドは反応性が高く非特異的な反応が問題となる。そこで反応点周りを置換基によって嵩高くしたり、電子的に反応性を落とすことで非特異反応を低減させる。またチオウレア触媒に関しても電子的なチューニングを行うことで反応性の制御を行う。さらには有機分子触媒だけでなく遷移金属触媒を用いた触媒的ラベル化法の開発を行う。まずは水中でも生成が確認されているπアリルパラジウム種とロジウムカルベノイド種を求電子剤として反応の検討を行う。πアリルパラジウム種に関しては水溶性ホスフィン配位子であるTPPTSを用いた触媒を参考に条件検討を行う。またロジウムカルベノイド種に関しては、Ladbury、Ballらの報告を参考に酢酸ロジウム(II)二量体を触媒として条件検討を行う(J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 10138.)。
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