研究課題/領域番号 |
17J09712
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三橋 隆章 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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キーワード | テルペノイド / セスタテルペン合成酵素 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的である、セスタテルペン合成酵素の合理的機能変換による有用化合物の創出に向け、新規セスタテルペン合成酵素の探索に取り組んだ。 セスタテルペン合成酵素は、多くの生物種中に普遍的に存在する単純な化合物を原料に、複雑かつ多様な構造を持つ化合物を作り出す能力を持った酵素である。こうした酵素がどのようにして機能を発揮しているのかについて明らかにし、合理的に機能変換することが可能になれば、複雑な構造を有する非天然型の化合物を容易に設計・取得できるようになると期待される。また、こうして創出した非天然型の新規化合物の中には、創薬におけるシード化合物など有用な化合物が含まれることが期待される。 しかし、これまでに解析されたセスタテルペン合成酵素の種類はごく限られており、合理的機能変換に向けては類似の酵素の新規取得と詳細な解析による知見の蓄積が重要となる。 本年度は、こうした観点から、糸状菌のゲノム情報中から新規セスタテルペン合成酵素をコードすると考えられる遺伝子を2種類見出だし、機能解析を行った。機能解析は、見出だした遺伝子を宿主となる生物に導入し、導入した遺伝子を強制的に働かせる系を構築することで行った。その結果、実際にこれら遺伝子がセスタテルペン合成酵素をコードすることが確認された。加えて、この2種類の酵素が作り出す化合物は、これまで報告されたことの無い新規化合物であることも判明した。本成果は、セスタテルペン合成酵素の合理的機能変換という課題に対し、有用な知見を与えるものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に取り組んだ新規セスタテルペン合成酵素の探索は、研究実施計画より予定していた内容である。また、その結果として実際に、糸状菌より2種類の新規セスタテルペン合成酵素を取得・同定することができた。従って、研究進捗状況はおおむね順調であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、同位体標識や計算化学の手法を用いることで、より詳細にセスタテルペン合成酵素の触媒する反応のメカニズムを解析したい。更に、こうして得た情報を元に、セスタテルペン合成酵素に変異導入を行い、合理的機能改変並びにこれに伴う有用化合物の創出を目指す。また引き続き、新規セスタテルペン合成酵素の探索に取り組むことで、更なる知見の蓄積にも努めたいと考えている。
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