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2017 年度 実績報告書

Pan属二種の地域社会構造の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17J09827
研究機関京都大学

研究代表者

石塚 真太郎  京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2017-04-26 – 2020-03-31
キーワードボノボ / チンパンジー / 繁殖成功
研究実績の概要

ボノボはオス間の争いが比較的穏やかな霊長類種であり、系統的に最も近縁なチンパンジーと比べてみても、集団内のオス間の攻撃交渉頻度は低く、チンパンジーで見られるような、他集団のオスに対するリンチも見られない。これらの行動パターンから、ボノボでは比較的順位の低いオスでも繁殖の機会を得ていることや、集団が異なるオスとも血縁関係が存在することなどが予想されてきた。
そこで我々がコンゴ民主共和国ワンバ村周辺に生息する隣接3集団の野生ボノボを対象に、非侵襲的に採取したDNAを用いて子の父性を調べた。その結果、11頭中9頭が第一位オスの子であることが分かった。第一位オスの高い繁殖成功には、その母親からの強いサポートなどが関係していると考えられる。また、集団内のオス間の血縁は他集団のオスとの血縁よりも強くなっていることが分かった。この結果はチンパンジーを対象とした先行研究の結果とも共通していた。ボノボとチンパンジーで大きく異なる他集団のオスに対する攻撃性は、両種で異なるメスの社会的地位など、血縁とは別の要因で説明できると考えられる。本研究結果は国際誌Royal Society Open Scienceに投稿し、受理・出版された。
絶滅危惧種の保全の上で、野生個体群の遺伝的多様性を評価することは有効である。しかしそのためには、対象動物のDNAを非侵襲的に採取することが必要になる。そのため、絶滅危惧種それぞれについて、非侵襲的DNA採取方法を確立することが求められる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

特別研究員採用一年目に計画していた通り、修士過程から継続して調べてきた野生ボノボの父性分析、および隣接3集団の血縁構造の結果を国際誌に投稿し、受理された。また、計画していたカリンズ森林のチンパンジーの遺伝分析に取り組み、オスの分析については大部分を終えた。これらに加え、ボノボのミトコンドリアDNAの分析や唾液からのDNA採取など、採用二年目以降の計画内容などについても一定の成果を出した。

今後の研究の推進方策

遺伝分析については計画以上の速度で進展しているため、本年度はコンゴ民主共和国にて野生ボノボの野外調査を行う。野外調査の中で、野生ボノボの行動観察および新たなDNA試料の採取を行う。また、昨年度中に出したボノボ、チンパンジー両種の遺伝データの結果について、本年度中の投稿、出版を目指す。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Paternity and kin structure among neighbouring groups in wild bonobos at Wamba2018

    • 著者名/発表者名
      Ishizuka Shintaro、Kawamoto Yoshi、Sakamaki Tetsuya、Tokuyama Nahoko、Toda Kazuya、Okamura Hiroki、Furuichi Takeshi
    • 雑誌名

      Royal Society Open Science

      巻: 5 ページ: 171006~171006

    • DOI

      10.1098/rsos.171006

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] ワンバのボノボにおけるオスの繁殖成功、および隣接複数集団の血縁構造2017

    • 著者名/発表者名
      石塚真太郎、川本芳、坂巻哲也、徳山奈帆子、戸田和弥、岡村弘樹、古市剛史
    • 学会等名
      第 33 回日本霊長類学会

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公開日: 2018-12-17  

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