研究課題/領域番号 |
17J09892
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小川 奈美 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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キーワード | 行為主体感 / 身体所有感 / バーチャルリアリティ / 人間機械協調 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,ユーザの身体動作による入力に対して,システムから補正を加えた場合でも自らが操作しているという感覚である「行為主体感」をユーザに生起させるためのインタフェース設計法を,(1)感覚フィードバックの予測を変化させる手法,(2)身体知覚を変化させる手法の両面から明らかにし,構築することである. 本年度は,(1)として,視覚フィードバックから身体運動を想起させ,立体知覚を生起・増強させる手法を提案・構築した.「ゆらゆら立体灯(Swinging 3D Lamps)」と名付けたこの手法は,仮想的な頭部運動の補完に基づいた立体知覚を利用する新しい立体投影手法である.実空間の印刷物に運動視差を利用した輝度運動信号を投影することで,立体感を与えることを可能とした. (2)としては,身体知覚の変調に基づいて空間知覚を操作してパフォーマンスの向上を図る手法の研究を行った.バーチャルアバタの身体パラメータ(スケール・動き・見た目・視点・位置)のそれぞれが近距離の空間知覚(奥行き感・スケール感・方向感覚)に与える影響を調査可能なシステムを制作し,本年度はこのうちアバタの身体部位のスケールと物体のスケール知覚の関係を調査するための被験者実験を行った.この結果,アバタの身体部位の表示スケールを操作すると,知覚される物体のスケール知覚が変化して感じられる(Body-based Scaling; BBS)ということが分かった.また,比較的簡素なアバタでもこの効果が生じていることが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り,(1)・(2)両アプローチについてそれぞれシステムを構築し,評価法の取捨選択をすることができたため.
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究過程で,行為主体感だけでなく身体所有感にも着目することが重要であるとわかった.また,これらの影響が主観評価や操作性だけでなく知覚や認知にも現れることがわかってきた.当初の計画では,次年度は運転支援システムを題材として行為主体感生起手法の構築と評価を行う予定であったが,行為主体感と身体所有感の双方を操作・検討することが比較的容易であるバーチャルアバタを用いた手法の構築と,タスク評価だけでなく知覚や認知も含めた多角的評価を行う計画とする.
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