今後の研究の推進方策 |
これまでに開発をすすめたセンサー分子を用いて、分子センサーデバイスの構築を行う。 合成したセンサー分子を固体半導体表面に修飾することでデバイス化し、そのセンシング特性の評価に取り組む。このデバイスに対して、各種標的分子を含む溶液を流通させ, 電流値変化をモニタリングする。 この測定を、センシング分子の構造的・電子的特性を変更して行い、それぞれのセンサーが各標的物質に対してどのように反応するかをマッピングすることで、センサーの選択性を生み出す化学的な要因を特定する。液相中だけでなく、気相中の化合物センシングについても、作成したデバイスに標的化合物を含む窒素ガスを流通させることで同様に行う。 標的化合物としては、種々の疾病のマーカー分子として知られる各種アミン・アルコール・アルデヒドを選択する。 炭素鎖の長さや分岐部位, およびキラリティーが異なる有機化合物について比較することでセンシング分子のまわりの立体環境の効果を確かめる。また、酸素や二酸化炭素、水を含むガスについても測定を行い, 外乱耐性を評価する。以上で得られた結果をフィードバックすることでセンシング部位の再設計と合成を行い, 高い感度・ 選択性・応答性を備えた分子センサーデバイスを実現する。以上の研究遂行にあたっては、ナノレベルにおける固体半導体の形成技術・デバイス作成技術・センサー評価技術が必要となるが、これらに関しては、酸化物ナノワイヤという材料を基軸とすることで、九州大学先導物質化学研究所の柳田剛教授が世界的に先駆けた技術を確立している。そこで申請者は、平成30年度より柳田研究室へと受け入れ先を変更し、本研究課題を加速推進する見込みである。
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