研究実績の概要 |
代表的皮膚疾患である、尋常性乾癬モデルにおける、乳酸菌由来(Lactobacillus plantarum)の不飽和脂肪酸代謝産物の効果検討を行った。イミキモド誘発性尋常性乾癬様皮膚炎モデルマウスを用いてリノール酸およびαリノレン酸よりそれぞれ代謝産生される水酸化脂肪酸(HYA, αHYA)オキソ脂肪酸(KetoA,αKetoA)の効果を検討した。その結果、これらの4種類の不飽和脂肪酸代謝産物のうち、αKetoAについてのみ、容量依存性の耳介厚抑制効果を認めた。どのようなメカニズムで尋常性乾癬モデルに影響するかを明らかにするために、まず、ヘマトキシリンエオジン染色にて皮膚組織の観察を行った。好中球やリンパ球といった、炎症細胞浸潤はαKetoA投与群でも同様に認めたが、表皮の肥厚についてはαKetoA投与群において優位に抑制されていることがわかった。次に、フローサイトメトリーを用いて、マウス尋常性乾癬の病態形成に重要と考えられている、好中球およびIL-17A産生γδ細胞等の炎症細胞浸潤を確認した。その結果、αKetoA投与群でも、コントロール群と比較して同程度の好中球およびIL-17A産生γδ細胞の浸潤、IL-17A産生を認めた。これらの結果からは、αKetoAが尋常性乾癬の中心となる病態には抑制効果を示していないものの、その下流となる表皮肥厚に対しては抑制効果を示す可能性が示唆された。
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