①性ホルモンが乾癬発症に及ぼす影響の検討 イミキモド誘発乾癬モデルにおいて、外科的閉経マウスと偽手術マウスを比較した。外科的閉経マウスにおいては、偽手術マウスに比べてイミキモド誘発乾癬様皮膚炎の増強が認められた。イミキモド塗布2日目におけるmRNAをquantitative PCRにより解析した。外科的閉経マウスにおいてCxcl2とIl1βのmRNAが上昇していた。イミキモド塗布6日目の耳をフローサイトメトリーで浸潤細胞数の比較を行ったところ、好中球の浸潤細胞数が偽手術群と比較して増加していた。女性ホルモンの中でも乾癬の病勢に抑制的に働くことが疫学から示唆される17β-エストラジオールを投与したマウスとプラセボを投与したマウスで比較した。プラセボを投与したマウスに比較して、エストラジオール投与マウスにおいてイミキモド誘発乾癬様皮膚炎が減弱した。同様にイミキモド塗布2日目の耳におけるmRNAを比較したところ、Cxcl2とIl1βのmRNAがプラセボを投与したマウスに比較してエストラジオールを投与したマウスにおいて減少していた。フローサイトメトリーによる解析では好中球の浸潤細胞数がエストラジオールを投与したマウスにおいて減少していた。 ②皮膚における性ホルモン受容体発現細胞のプロファイリング 上記の結果から、エストラジオールはイミキモド誘発乾癬様皮膚炎において抑制的に働くことが示唆され、その作用する細胞を同定するために、皮膚における各種細胞におけるエストロゲンレセプターの発現をフローサイトメトリーで検討した。皮膚においてはイミキモド誘発乾癬様皮膚炎における主要な役割をもつ細胞であるケラチノサイト、γδT細胞、樹状細胞、好中球いずれにおいてもエストロゲンレセプターα、エストロゲンレセプターβともに発現していたが、その中でもケラチノサイトと樹状細胞において特に発現が高く見られた。
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