今後の研究の推進方策 |
今後の研究として以下の二つが挙げられる。 一つはすでに作製に成功しているTaZrO2膜に異なるドーパントを加え強誘電特性の変化を試みることである。これまで様々なドーパント(Y, Si, Gd, Zr, Laなど)をドープしたHfO2基強誘電体ではある組成領域のみで強誘電相が得られており、微量なドープ量変化で結晶構造が変化してしまうため、ドープ量の変化(格子定数の変化)による斜方晶相単相の強誘電特性の変化を得るのが難しかった。一方で本研究で作製に成功したTaZrO2膜では幅広いTaドープ量で強誘電相が安定である。このTaZrO2膜ではこのTaドープ量に応じて格子定数が変化する。様々なTaドープ量のZrO2膜に他のドーパントを加えることにより、これまであまり検討されてこなかった、格子定数の変化によるHfO2基強誘電体の強誘電特性の変化を調査することが可能であると考えられる。 二つは当初の予定通り、微細構造の構造変化による抗電界の制御を試みることである。抗電界の膜厚依存性の結果から、微細構造により抗電界が変化する可能性は十分考えられる。 今後は上記の二つの研究について行う予定である。
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