研究課題/領域番号 |
17J10301
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
齋藤 祐一 岐阜薬科大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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キーワード | Nrf2/Keap1経路 / 酸化ストレス / オートファジー / 網膜色素上皮細胞 / ファゴサイトーシス |
研究実績の概要 |
生体内において酸化ストレス応答を制御する主要な経路であるNrf2/Keap1経路は種々の疾患における新規治療標的として注目を浴びている。申請者らは過去にNrf2活性化剤が光誘発マウス網膜障害モデルに対する保護作用を有することを報告しているが、その詳細なメカニズムについては未だ不明な点が多く、その他の網膜疾患の病態形成などにおいて、Nrf2/Keap1経路の活性化がどのような影響を与えるか包括的な理解はなされていない。 特に、Nrf2/Keap1経路はオートファジー機構と密接に関連していることが示唆されている。本研究において申請者らはNrf2/Keap1経路を介したオートファジー活性化による網膜機能維持および加齢性網膜疾患の病態形成への影響を詳細に検討することを目的とし、ゼブラフィッシュおよび網膜色素上皮細胞を用いて検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の検討では、ゼブラフィッシュおよび網膜色素上皮細胞を用いてNrf2活性化剤の細胞保護作用にオートファジーが関与することを中心的に示した。 ゼブラフィッシュを用いた検討では光誘発網膜障害モデルにおけるNrf2活性化剤の保護作用にオートファジー経路が重要であることを、阻害剤を用いた検討により示唆した。また、網膜色素上皮細胞を用いた検討においては、1. 酸化剤であるヨウ素酸ナトリウム誘発細胞障害に対しNrf2活性化剤が保護作用を示すこと。2. 上記の保護作用がオートファジー阻害により阻害されること。3. Nrf2活性化剤により一過性のオートファジー活性化が引き起こされていること。を示した。 また、Nrf2の活性化を介さない抗酸化剤であるN-アセチルシステインにおいてオートファジー活性と細胞保護作用が無関係であることも同時に確認しており、これらの知見はNrf2活性化剤が他の抗酸化剤と異なる活性・有効性を有することを示唆するものである。
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今後の研究の推進方策 |
網膜色素上皮細胞は網膜機能維持の為に古くなった視細胞の貪食を担い、視細胞の代謝回転を制御している。この視細胞貪食過程は一部オートファジー経路と同一の過程や分子機構を有することが知られており、Nrf2活性化剤による本機能への影響が想定される。今後はこのような代謝制御に焦点をあて、加齢性網膜疾患で問題となる網膜下の不溶物蓄積に対してNrf2活性化剤がどのような作用を示すかについて検討を行っていく。
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