網膜色素上皮は恒常的に視細胞外節を貪食・消化することで視機能の維持に重要な役割を果たしている。この網膜色素上皮に慢性的な酸化ストレスがかかることが、難治性網膜疾患である萎縮型加齢黄斑変性症の病態形成を引き起こすと考えられているが、未だ有効な治療薬は開発されていない。そこでわれわれは酸化ストレスに応答し、生体内で多様な異物代謝関連因子を誘導する転写因子であるNF-E2-related factor 2 (Nrf2) に着目した。われわれはNrf2の活性化薬が萎縮型加齢黄斑変性症の発症に重要であると考えられる網膜色素上皮の代謝機構に及ぼす影響を検討した。 本年度は、Nrf2活性化薬RS9がAMPKα1のリン酸化を介したLC3の誘導により網膜色素上皮における視細胞外節のファゴリソソーム形成を促進することを明らかにした。さらに、マウスを用いたIn vivo死細胞ファゴサイトーシス活性評価系を確立し、RS9が光照射後の網膜色素上皮におけるファゴリソソームサイズを低下させることを明らかにした。
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