Zr-9Nb-3Sn合金粉末の粒度分布の評価を行った。スキャン速度を900または1200 mm/sと、ハッチ間隔を60または120 mmの2条件としてレーザー出力95 W、積層厚さ25 mmの条件でアルゴン雰囲気下造形により生体用低磁性β型Zr9Nb3Sn合金を積層造形法により製作した。造形時、各層ごとにスキャン方向を90°回転させ、ChessのXY座標を1 mmずらしながらレーザ走査を行い、造形体製作を行った。造形体は繰り返し曲げ試験により、弾性率が50GPa程度まで低下することが可能である。そこで低弾性率の歯科用インプラントに用いた場合の周囲の骨組織への影響をアンシスによりシミュレーション解析を行った。有限要素解析モデルを,Ti合金をインプラント体に用いた場合と低弾性合金を用いた場合で作成した。結果,弾性係数の低下にともないインプラントの変形量が大きくなり、それに伴い皮質骨に生じる応力が大きくなることが明らかとなった。応力負荷が過度であるとストレスシューティングにより骨吸収が起こることはよく知られているが、骨造成にはある程度の荷重負荷も必要である。そのため、今回のシュミレーション解析で得られたデータが応力の適正範囲内にあるのか、適正範囲外となるのか、さらに現在解析を進めている。またZr合金は圧縮によりβ相が析出することが分かり、圧をコントロールすることで弾性率のグラデーション化が可能ということが明らかとなった。
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