平成29年度は以下を実施した. (1)温度応答性高分子を用いた分離直径調節可能なデバイスの設計・作製:マイクロ流路デバイスは,温度応答性高分子(poly-N-isopropylacrylamide; PNIPAM)) のフォトレジストを用いてガラス基板上に作製したDLDピラー及び, それを密封するための PDMS製の流路から構成される.PNIPAM製DLDピラーはフォトリソグラフィにてスライドガラス上に作製し,PDMS流路はSi基板上にSU-8を用いて作製した鋳型からPDMSにパターンを転写することで作製した. (2)作製デバイスの評価 :上記(1)で作製したPNIPAM製のDLDピラーの温度応答性,形状変化,耐久性について評価した.温度応答性に関しては,温度変化を与えた際の支柱形状変化の応答速度を評価した.ピラー形状に関しては,温度変化により生じるピラーの膨潤・収縮の様子を測定した.支柱の耐久性については,デバイスに繰り返し温度変化を与えた際の膨潤・収縮の再現性や,液体をデバイスに導入した際に,ガラス基板上に作製したピラー構造が壊れずに許容可能な流量範囲について評価した. (3)粒子分離実験によるデバイス性能評価:温度操作により分離直径を制御し,上記(1)で作製したデバイスにて粒子軌道の制御が可能かを評価した.具体的には,蛍光ポリスチレンビーズの試料をデバイスに導入し,ビーズの分離試験を実施した.ビーズのサイズには,生体粒子(細胞など)を模擬し,直径7 μmと2 μmのビーズを選定した.デバイスの温度を変化させることにより,DLD流路内のビーズ軌道を制御可能であること,7 μmと2 μmのビーズ分離のON・OFF制御が可能であることを確認した. (4)上記の研究に加えて,慣性フォーカスによる単一入力型粒子分離デバイスの研究に関しても,デバイスの設計と作製を実施した.
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