研究実績の概要 |
酸化還元応答性キラルドーパントを用いたコレステリック液晶の反射色制御 過去研究者が報告した論文(S. Tokunaga et al., Adv. Mater. 2016, 28, 4077.)の中で、キラルドーパントがイオン性を有する時、らせん誘起力が低下するという新たな知見を発見した。この知見を元にこれまで、液晶中での酸化還元状態によって、らせん誘起力を変調可能な世界で初めての『酸化還元応答性キラルドーパント』の開発に成功している。このキラルドーパントは可逆な酸化還元活性を有することをサイクリックボルタンメトリーにて確認した。このキラルドーパントは、酸化時はイオン性、還元時は非イオン性に変化し、それぞれの状態でのらせん誘起力は異なることを発見し、化学酸化剤の添加にて反射色の変調を達成した。 このキラルドーパントと支持電解質を液晶中に混合したコレステリック液晶サンプルを、電荷の保証剤が塗布された透明電極セルに注入し電圧印加を行うことで、1.5 Vという低電圧にて可視領域の反射色の変調に成功した。またこの液晶材料は繰り返し変調可能であり、反射色の変調速度は、他のコレステリック液晶材料と比較しても世界最速であることが明らかとなった。 また、この液晶材料の反射色変化が、『酸化還元応答性キラルドーパント』の電気化学反応であることをX線光電子分光などを用いて確認している。 これらの研究成果は、特許申請(特願2018-38836)を行い、現在論文の投稿準備中である。
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