2019年度の研究活動では,実験フレームワークを逐次学習環境に対応させることを進めた。解決すべき課題は,学習の進行に伴う学習データの量,質の変化に学習手法が動的に対応することがある。この課題を解決するために,構築した学習手法をノンパラメトリックベイズに基づく確率的生成モデルを取り扱えるように拡張することを進めた。研究成果として,ニューラルネットワークを用いた確率的勾配法でディリクレ過程に基づいた確率分布を事前分布とする階層トピックモデルを学習する方法を構築した。提案手法は画像認識のベンチマークで使われるデータセットで構成されるマルチモーダルデータセットを用いた実験により性能評価をした。妥当な混合要素数を設定したパラメトリックなモデルにはデータセット全体の再構成性能では劣るが,各データの特徴を捉えた確率分布を学習可能であることを確認できた。また,混合要素数の推定では,用いたデータセットに対して妥当な数を推定できることを確認した。 また,昨年度に構築した確率的生成モデルの内部構造の解析と先行研究の手法との比較を進めた。解析対象は, 複数のセンサで計測された家庭環境中での人間の動作に関するデータを階層的なトピックモデルで学習した結果である。提案手法において,上位層のトピックで,表されるべき物体,行動,場所,性別,年代といった情報の組み合わせを表す内部情報が獲得されていることが確認できた。この解析結果を含めたニューラルネットワークを用いた階層的トピックモデルに関して実施した内容については学術論文雑誌へ投稿し、現在査読中である。
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