研究課題/領域番号 |
17J10571
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
船橋 賢 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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キーワード | 分散型触覚センサ / マニピュレーション / 畳み込みニューラルネットワーク |
研究実績の概要 |
初年度に多指ロボットハンドであるAllegroHandに搭載した3軸分布型触覚センサを用いての実験に注力した.今年度は2指によるハンドでの操り動作の検証を行った.ハンド表面はシリコンで覆われているためハンドが把持している物体とは面接触を行うことになり,動作学習を行う際はそのセンサ配置の情報も含める必要がある.これに対して,Convolutional Neural Network (CNN)を用いた.これは画像認識で良く用いられている手法で領域ごとに学習することが出来る.動作生成を行うモデルではCNNを用いて触覚センサの情報を処理・特徴量抽出を行い,その他の関節角度と6軸力覚センサは特徴量抽された触覚センサ情報とともに次の全結合しているニューラルネットワークの層に入力され,動作生成を行った.結果として,学習を行っていない日常物体の動作生成も含めて安定した操り動作の生成に成功するに至った.特に触覚センサは3軸情報を含んでおり,操り動作の成功回数や動作生成中のせん断方向の触覚情報が運視軌道に影響を与えていることから,3軸触覚情報がCNNにより有効に特徴抽出・操り動作生成に利用されたことが分かった.分布型触覚センサであることと指先が柔軟なシリコンに覆われていることも安定した操り動作の実現に寄与している.これらの結果を学会論文にまとめて,ロボット系の国際学会ではトップの学会の一つであるIROS2019に投稿し,査読待ちである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画の最終目的はニューラルネットワークによる触覚情報を用いた多指ハンドによる物体の操りである.今年度までに触覚センサをロボットハンドに搭載することを終え,2指による操り動作の生成に成功した.最終年度には同様なニューラルネットワーク構造を用いて4指(多指)による操り動作達成を目標とすることで本研究の完遂を目指す.各年度ごとにセンサ開発や操り動作生成などの大目的を達成しているため,最終年度を迎えて,研究は順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は今までに得られた知見を活かして,4指(多指)による物体の操り動作の検証を行う.研究提案のコアの部分は昨年度の手法をベースとしており,指の本数が増える分,適用する触角センサとCNNの数が増える.対象とするタスクは2指の時と同じくひねる動作とし,4指でも動作生成が可能なのかの検証を行う.4指による操り動作においては2指によるものと比べて物体との接触の仕方が様々で,垂直方向の力である把持力やせん断方向に働く滑りなどの力といった操り特有の力が複雑に絡み合って働く.これはつまり物体にかかる力が3軸方向に働く.この特性を考慮して3軸触覚センサが有効に働くと考えられる.これらの結果をまとめてジャーナルに投稿する予定である.
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