研究課題/領域番号 |
17J10582
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山本 昂輝 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2019-03-31
|
キーワード | NK3受容体 / NK3受容体拮抗剤 / 金触媒反応 |
研究実績の概要 |
ニューロキニン-3(NK3)受容体は、哺乳動物の生殖機能を制御する新たな標的として注目され、NK3受容体拮抗剤は性腺機能の過剰亢進に伴う組織や腫瘍の異常増殖等を抑制できる薬剤としての開発が期待されている。NK1受容体拮抗剤とNK2受容体拮抗剤を同時に作用させるとNK3受容体拮抗剤talnetantの受容体拮抗作用が増強されるとの知見に着目し、NK3受容体の機能調節に関わる協働的な作用機構を解析した。 アンタゴニスト活性評価系を構築し、最適化した評価法を用いて各種リガンドの活性評価や協働的な抑制作用の解明を行ったが、予想に反してSDZ-NKT343及びGR94800の協働的なNK3受容体に対する抑制作用は本評価系では確認されなかった。 また、ユニークな含窒素複素環構造を有するNK3受容体拮抗剤の中心骨格を遷移金属による効率的な骨格構築法の開発に取り組んだ。プロパルギル基とアミドラゾンを有する基質に対して、触媒のリガンド、銀塩、溶媒等を種々検討することにより最適条件を確立し、中心骨格であるトリアゾロピペラジン骨格を効率的に得る反応を見出した。また、本反応は広い基質一般性を有しており、用いる基質の構造に基づき、オキサジアゾロピペラジン骨格、ジアゼピン骨格、テトラヒドロキノキサリン骨格などの様々な骨格を合成することに成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NK3受容体拮抗剤の中心骨格を金触媒により効率的に構築する反応を開発した。また、用いる基質の構造に基づき、オキサジアゾロピペラジン骨格、ジアゼピン骨格、テトラヒドロキノキサリン骨格などの様々な骨格を合成することに成功した。このため、当初計画していた通りの研究が進展したものと判断される。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度の研究において確立したオキサジアゾロピペラジン骨格構築法を利用して、オキサジアゾロピペラジン骨格を生物活性化合物へ応用することを検討する。環化反応の後にNK3受容体拮抗剤と同様のアミドユニットを導入し、NK3受容体への生物活性を評価する。また、トリアゾロピペラジン骨格はさまざまな生物活性物質に含まれていることから、アミドユニットの変換等によりNK3受容体拮抗剤以外への応用も検討する。 さらに、生物活性や溶解性などの向上を期待してNK3受容体拮抗剤の部分構造を変換する。中心骨格を様々な縮環ピペラジンに変換し、得られた誘導体の生物活性等を評価する。また、繁殖抑制剤としての利用を目指して、代謝酵素存在下や自然環境条件における誘導体の生物活性の変遷を精査する予定である。
|