近年のボトムアップ型ナノ粒子合成法の発展により、金属および半導体ナノ粒子の精密設計が可能となった。さらに、これらのナノ粒子が集合した自己組織構造体はキャリア輸送特性やエネルギー移動特性、電荷分離特性など、ナノ粒子単体では得られない集積構造特有の共同的な特性の発現が期待される。しかし、このような自己組織化を実現するための新規プロセスの開発は発展途上にあり、研究開発が進められている。シンガポール国立大学Chan Yin Thaiは脂溶性の異方性半導体ナノ粒子の端面を選択的に陽イオン交換し、端面同士を共有結合的に連結する手法を開発した。本研究では、まず、精密無機合成技術を駆使し、発光波長の異なる非対称性のCdSe/CdS コアシェルナノロッドを合成した。さらに共有結合的にナノ粒子を連結する手法を用いて、ナノロッド同士をヘテロに自己組織化することに成功した。今後、異方性半導体ナノ粒子の両親媒化と、水中における疎水性効果を駆動力とし自己組織化する本研究手法との融合により、高効率で粒子同士を結合させる新規自己組織化プロセスの開発についての研究を継続する。また、同一種の発光波長を有する非対称性のコアシェルナノロッドの2量体の再現に成功した。これまで測定することが困難であった、ナノ粒子の複合体の発光ブリンキング現象の測定による新規物理学現象の解明に繋がる研究開発について、研究協力者とともに現在進行中である。
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