研究課題
近年、採用者(藤原悠紀)らは核酸を基質とする新たな膜透過型のオートファジーを発見、RNautophagy/DNautophagy(RDAと略記)と名付け報告してきた。昨年までに採用者は2種類のRDA関連遺伝子、LAMP2C及びSIDT2がウイルス感染モデル系において自然免疫応答の下流因子として発現上昇すること、SIDT2ノックアウト細胞で病原性ウイルスのゲノムRNAや構成タンパク質、そして感染性ウイルス粒子の産生量が野生型細胞と比較して顕著に増強されること(※昨年度の研究報告書において「増強」を「減弱」と誤記していたため、この点について訂正する。)等を見出していた。これらに加え採用者はウイルス由来RNAがin vitroでRNautophagy基質となることや、SIDT2過剰発現でウイルス増殖が抑制されうること等を見出した他、in vivoでのウイルス増殖へのRDAの寄与、RDA関連遺伝子の発現を調節するシグナル、RDAが他の免疫系に及ぼす影響等の検討を行った。採用者はこれらの内容についてマカオで開催された国際学会15th Meeting of the Asian-Pacific Society for Neurochemistry (APSN2018)においてInvited Young Investigatorとして口演を行った。さらに採用者は新たに見出しつつあるリソソームによる新規タンパク質分解システムについて研究を進め、その分子メカニズム等についてin vitroおよび培養細胞レベルで多くのデータを得た他、その生理的・病態生理的意義についてin vivoでの非常に興味深いデータも得られつつある。採用者はこれらの内容について所属研究所内で研究部の代表としての口演(英語)を行い、Best Oral Presentation Award(最優秀口演発表賞)を受賞した。
1: 当初の計画以上に進展している
平成30年度、採用者(藤原悠紀)は前述の通り自身が発見・報告してきたリソソームによる新規核酸分解システムRNautophagy/DNautophagyの生体における免疫応答反応への関わりについて、所属研究所や複数の共同研究機関をまたいで分子から個体レベルに至るまで多くの実験を実施し、有意義なデータを得た。また、これらの成果についてマカオで開催された国際学会15th Meeting of the Asian-Pacific Society for Neurochemistry (APSN2018)にてInvited Young Investigatorとしての口演を果たし、各国の研究者からコメントを得られたことは、研究成果のアウトプットという意味でも、これからのさらなる研究のためのインプットとしても大変有意義な機会であった。加えて採用者らは研究の過程で思いがけずリソソームによる新たなタンパク質分解システムをも見出しつつあり、これについても精力的に研究を遂行し、論文の投稿に向けて多くのデータを得た。この成果については所属研究所の研究発表会にて所属研究部の代表として口演(英語)を行い、Best Oral Presentation Award(最優秀口演発表賞)を受賞した。このほか、平成30年度、採用者は共著者として1報の論文の出版が受理されている。以上のように当初の研究計画が順調に進行しているのに加え、予想外の新たな発見についても研究を遂行し重要なデータや成果を得ていることから、「当初の計画以上に進展している」と判断した。
今後はリソソームによる新規タンパク質分解システムの研究に研究の比重をシフトし、この研究に関する論文の出版を第一優先に取り組んでゆく予定である。
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Neurochemistry International
巻: 126 ページ: 19~26
10.1016/j.neuint.2019.02.020
https://researchmap.jp/yuuki-fujiwara/