研究課題/領域番号 |
17J10680
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
高橋 徹 早稲田大学, 人間科学学術院, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
|
キーワード | マインドフルネス / 瞑想 / 洞察瞑想 / 集中瞑想 / 脳波 / マインドワンダリング / メタ的気づき / うつ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、今ここの体験に対して評価判断せずに注意を向けるマインドフルネスを促進するためにニューロフィードバック介入法を開発することである。そのために、マインドフルネスの状態を特徴づける神経指標を同定する必要がある。そこで、マインドフルネス瞑想を確実に実践できる瞑想熟達者を対象として、瞑想中の脳波を測定したところ、マインドフルネス瞑想を特徴づける脳波として、頭部の広範囲におけるデルタ波の低下を示した。デルタ波は、渇望と関係する動機づけと関連しているという説があり、マインドフルネス瞑想が渇望を減少するメカニズムを示唆していると考えられた。また、マインドフルネス瞑想特有の効果として、マインドワンダリング(目の前の課題から注意が逸れること)へのメタ的な気づきが高まることを示した。さらに、マインドフルネスと対応する神経指標の妥当性を検討するために、確実にマインドフルネスを高めることができる標準的なマインドフルネス介入を行える必要がある。そこで、マインドフルネスの標準的な介入プログラムの運営を担い、うつと不安が改善することを示し、さらにその改善には思考と現実を混同する傾向の減少が関連していることを示した。さらに、マインドフルネスと類似した概念として、感覚処理感受性(感覚処理の敏感さ)があるが、その調査データを解析し、両概念と心身の不適応の関連を示した論文を投稿中である。これらの知見は、マインドフルネスという概念の特徴を抽出することに寄与し、今後の研究に発展すると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マインドフルネス瞑想の熟達者をリクルートし、マインドフルネス瞑想に特徴的な脳波指標を得ることができた。また、マインドフルネスの標準的な介入を行うプログラムを運営し、安定してマインドフルネスの習得を促し、効果を出すことができるようなプログラムを作成することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、実際の標準的なマインドフルネスの介入において、マインドフルネスの習得に伴ってどのような神経指標が変化しているかが明らかでないため、これまでの研究から候補となる変数を特定し、その変化を検討する。これまでの研究から、デルタ波の低減がマインドフルネス瞑想に特徴的であると考えられたが、これはマインドフルネスの「気づき」の要素と対応していると考えられ、もう一つの重要な要素である「反応しない」要素と対応する神経指標は明らかでない。そのため、それらを明らかにするような実験課題を作成し、マインドフルネスを特徴づける神経指標をさらに特定することを進めるとともに、それらの指標がマインドフルネス介入によって変化するかどうかを確認する。
|