研究課題
将来の行動と相関する海馬神経細胞の発火シークエンスの意義の解明のために、昨年度に引き続き、主にi)状況依存的な経路設計課題の設定、および海馬からの神経活動の記録、ii)自由行動下における海馬シャープウェーブリップル(Sharp-wave ripple)および海馬発火シークエンスの意義の検討のための、フィードバックシステムの開発を行った。i)について、平成30年度までに改善した行動実験系において、ラット海馬CA1野から神経活動を記録し、100個以上の神経細胞の活動の同時記録に成功し、データ解析を行った。ii)について、本研究では、特徴的な海馬Sharp-wave rippleを伴う発火シークエンスの意義を解明するために、自由行動下でフィードバックできるシステムを構築した。システムを最適化し、これまでより低いレイテンシでデジタル信号処理を行い、フィードバックすることが可能となった。このシステムを用いて、フィードバック実験を行った。これらの実験・解析データをもとに、海馬の細胞は自身の場所だけでなく、行動課題の文脈の情報もコードしており、そのような細胞がより優先的にリプレイに組み込まれることを発見した。これは、海馬神経回路が学習課題の構造という抽象的な情報を抽出し表現することができることを示唆している。また学習中のリプレイは、そのような表現を用いて、これまでの経験からの予測と比較して学習に重要なエピソードを優先的に再生していることを見出した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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bioRxiv
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https://doi.org/10.1101/2020.03.23.002964