研究課題/領域番号 |
17J10893
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
倉石 孝 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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キーワード | タイヤ / 接地 / 流体解析 / フォイル軸受 / 流体構造連成解析 |
研究実績の概要 |
当該年度の研究成果は大きく分けて2つある。 1つ目はタイヤの流体解析の検証である。前年度実現したタイヤの流体解析手法において異なる安定化項を使用し、妥当なものを選定する。接地面近傍という解析領域が狭いことを考えると良い解析精度であり、選定した安定化項の妥当性もみてとれる。タイヤと路面の境界付近には速度境界層を捉えられていることが確認できた。 2つ目はフォイル軸受の流体構造連成解析による流体力の評価である。フォイル軸受は軸受内にフォイルが配置されており、気体軸受の1種である。このフォイル軸受は流体構造連成問題であり、解析手法の良さを解析を通して評価する。フォイルの厚みはフォイル軸受の半径に対して非常に薄い。そのため、構造解析においては1次元モデルとして取り扱うことができる一方、流体解析においてはこの厚みは無視することができず2次元モデルとして取り扱う。また、軸の単振動を境界条件として与えてフォイルは各時刻において変位するように流体構造連成解析を行った。解析結果からフォイル1つの時間変位を求めた。また、フォイルを固定して流体解析をし、得られた圧力分布を用いて行った非定常構造解析結果と比較した。流体構造連成解析結果から時間がたつに連れてフォイルの振動は流体力によって低減したことが得られた。しかし、この流体力は付加質量が小さいためさらなる減衰を望むには、設計改善による流体場の制御や外圧によるフォイルの支持などが必要になってくると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タイヤの解析に関しては、2次元の例を用いてしっかりとした計算精度の確認ができた。また、新たに開発した安定化手法を接触を含む流体解析に応用でき妥当な安定化項の選定も行え、その安定化を用いて3次元の解析も計算し続けることで安定性が増していることも確認ができた。 さらにフォイル軸受を対象に流体構造連成解析に取り組んだ。解析対象は付加質量が小さいことから計算を容易にしている一面はあるが本格的な連成解析実現のための良い進捗である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は軸受の解析を対象に解析手法のさらなる改善を目指す。これまでは流体潤滑と呼ばれる固体表面の粗さが影響しない領域を解析対象としていた。その流体潤滑を境界潤滑へと拡張する。境界潤滑は固体表面の粗さ同士が接触している領域である。よりミクロなレベルの現象を精度良く捉える必要がありトライボロジー分野のアイディアを取り入れる。
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