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2017 年度 実績報告書

メタン由来炭素から始まる湖沼生態系食物連鎖の重要性評価

研究課題

研究課題/領域番号 17J11577
研究機関国立研究開発法人国立環境研究所

研究代表者

土屋 健司  国立研究開発法人国立環境研究所, 地域環境研究センター 湖沼・河川環境研究室, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2017-04-26 – 2020-03-31
キーワードメタン食物網 / オオユスリカ / メタン酸化菌 / 霞ケ浦
研究実績の概要

今年度は霞ケ浦西浦の4地点,高浜入(St.3),土浦入(St.7),湖心(St.9),湖尻(St.12)において底生生物であるユスリカ幼生と貧毛類,底泥及び懸濁態有機物の炭素・窒素安定同位体比を調べた.その結果,St.7とSt.12でのオオユスリカ幼生の炭素安定同位体比の変動幅は小さく,底泥及び懸濁態有機物の炭素安定同位体比と比較的近い値を示したことから,低い炭素安定同位体比で特徴づけられるメタン由来炭素の寄与は小さいものと考えられた.
一方,St. 3とSt.9のオオユスリカ幼生においては,それぞれの地点の底泥や懸濁態有機物の炭素安定同位体比より低い値を示し,メタン由来炭素の寄与が比較的大きいことが示唆された.地点間のオオユスリカ幼生へのメタン由来炭素の寄与率の変動には底質の差異が関与しているものと考えられる.St.7とSt.12では砂など粒径の大きな粒子が比較的多い底質であったのに対し,St.3とSt.9ではシルトを主体とする比較的平均粒径の小さな底質であったことから,底泥からのメタンの抜けやすさ(滞留時間の変化)や,それに伴うメタン酸化効率の差異が,地点間のメタン由来炭素の寄与率の変動要因であると推察された.
また,St.3ではオオユスリカの炭素安定同位体比の明瞭な季節変動が見られた.4月は比較的低い値を示したが,5月から7月にかけて比較的高い値を示し,メタン由来炭素の寄与は小さくなったと考えられる.その後,炭素安定同位体比は低下傾向を示し,9月に最も低い値を示した.秋から冬にかけても比較的低い値で推移した.以上のように,同一地点においても炭素安定同位体比は季節変動を示し,メタン食物網の優占度は季節的に変化することが明らかとなった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

同一湖沼内において底質の違いによりメタン食物網の寄与度に差異が見られたこと,同一地点においてもメタン食物網の寄与度にはっきりとした季節変化が存在することがなどが見られ,本分野においても新しい知見が得られた.

今後の研究の推進方策

底生生物群集内でのメタン食物網優占度にははっきりとして季節変動が見られたため,その季節変動の要因に関して,メタン酸化菌をはじめとした微生物群集動態やメタン動態に着目して研究を進め,それらの関係性を解析する.さらに,湖沼内におけるメタン食物網の寄与度の推定のため,高次栄養段階生物群集の炭素・窒素安定同位体比の測定・解析を実施する.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 細菌生産速度から見る霞ケ浦湖心の物質収支2017

    • 著者名/発表者名
      土屋健司・佐野友春・冨岡典子・高村典子・中川惠・高津文人・小松一弘・今井章雄
    • 学会等名
      日本陸水学会大82回大会

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公開日: 2018-12-17  

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