研究課題/領域番号 |
17J40001
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
早藤 麻美 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | X線天文学 / X線宇宙物理学 / X線偏光 / TPC |
研究実績の概要 |
本研究は、超小型衛星 CubeSat を利用し、NASAで進行中 (2021年打ち上げ予定) のX線偏光観測を目的とした衛星プロジェクト (IXPE) と相補的なX線偏光観測を行うことを最終目的としている。IXPE は典型的なX線天体でフラックスの高い 2-10 keVの帯域において数十天体の観測を予定しているが、フラックスは小さくとも依然として偏光観測の科学的重要度の高い10-30 keVにおいて、単一天体の長時間観測により偏光検出を目指す。前年度は、本研究の先行プロジェクトで使用していた Time Projection Chamber (TPC) 型偏光計を拡張し、10 keV以上での偏光観測の性能を実証した。平成30年度は、現行のTPC偏光計においてもっとも改良が必要とされていた「偏光方向に対する検出器応答の角度依存を調査するための回転機構」を新たに備えた軽量TPC偏光計を製作し、検出器応答の角度依存を詳細に調査することをが目標であった。 偏光計の角度依存が少なく回転動作がスムーズになるデザインを検討し製作し、従来のTPC型偏光計で前年度に実証していた性能との比較試験を行った。具体的には、X線発生装置を用いあるエネルギー範囲で、異なる偏光度 (<0.5%, ~20%) を持つX線を発生させ、偏光計で得られるデータの違いを検証する。この実験により、従来の偏光計と新しく製作した軽量TPC偏光計の性能はほぼ同等であることを確認した (15-17 keVレンジにおける偏光測定性能を示すモジュレーションファクターは~50%)。結果は投稿論文として準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は、偏光計の小型化および性能試験、衛星バスシステム開発について、我々の目的にあった企業の検討と選定を計画していた。偏光計の製作と性能評価を予想以上に進めることができた反面、衛星搭載に十分なサイズには縮小できなかったこともあり、並行して進める予定であった衛星バスシステム開発についての企業検討・選定は進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、引き続き偏光計の性能の定量的な評価を進める予定であり、そのためにはより高い偏光度を持つX線が必要となる。そのため、シンクロトロン放射光施設KEK-PFのビーム利用に申請・採択済みで、現在、令和元年度5月に行われるビーム実験の準備を進めている。
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