研究課題
本研究は、ヒト科における出産間隔を調整するメカニズムを解明する為に、オランウータンを中心とする大型類人猿の母親が、授乳行動を変えることで出産間隔を調整している可能性を検討することが目的として、行動学的および形態学的手法を用いて研究を行った。行動学的研究については、野生下および飼育下で資料収集を継続した。野生個体を対象とする調査は、2005年から長期調査を行っている、ボルネオ島マレーシア領サバ州のダナムバレイ自然保護区において、共同研究者や現地調査助手と共に、行った。2019年5月、7月、および2020年1月、2月の計4回マレーシアに渡航し、代表者自身も野外調査を行なった。2019年6月には、8年ぶりに経産雌(2011年に第1子を出産)が第2子を出産したことを観察できた。さらに2頭の雌(経産1頭、未経産1頭)が妊娠したことを2020年に確認し、うち経産雌1頭は2020 年2 月に出産したことが確認できた。2020 年7~8 月は9 年ぶりに大規模な一斉結実が起き、仮説どおり一斉結実による果実生産量の増加に伴って、調査対象の雌達が妊娠出産し、貴重なデータが収集できた。日本国内の動物園で、1組の母子を対象に、直接観察と夜間映像の記録をもとに、授乳行動を分析する研究を継続した。骨盤の妊娠出産痕(経産女性に特徴的な耳状面前部の圧痕)が、類人猿でも見られるのではないか、という仮説を検証する為、骨格標本を対象とした形態学的調査も継続し、耳状面前部の圧痕の発生頻度の種間差を追認できた。国際的な学術雑誌で1本の共著論文を発表し、日本霊長類学、日本人類学会、日本人間行動進化学会等で発表した。また動物の子育てを紹介する一般書を編集・分担執筆し、オランウータンの生態や行動に関する日本語の児童書(単著)を出版した。また大手新聞紙2紙にもインタビュー記事が掲載された
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Veterinary Medicine and Scienc
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https://doi.org/10.1002/vms3.237