研究課題/領域番号 |
17J40028
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
福田 尚代 愛媛大学, 医学系研究科 肝胆膵・乳腺外科学, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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キーワード | 細胞極性 / exocyst / 乳腺細胞 |
研究実績の概要 |
多くのがん細胞では細胞極性の消失が認められており、細胞極性の消失はがん細胞の悪性度を見極める上で重要な指標の一つである。上皮細胞の「細胞間接着」と「細胞極性」の破綻と再構築の分子メカニズムを理解する上で、同一細胞を用いたライブセルイメージングによる解析は非常に有用である。本研究では、CRISPR/Cas9システムを用いて樹立したsuperfolder GFP (sfGFP)ノックイン細胞株のライブセルイメージング解析により、細胞極性因子の連続的な役割を理解する事を目的としている。さらに、ヒト乳腺オルガノイド培養による乳腺組織再構築系を用いて、正常状態に近い組織での細胞極性因子の挙動を解析したい。 本研究は米国Vanderbilt大学との共同研究として進めており、初年度はVanderbilt大学にてヒト乳腺オルガノイド培養法の技術習得を行った。また、並行してCRISPR/Cas9システムを使い細胞極性制御因子の一つであるexocyst複合体のsfGFP融合ノックイン細胞を複数樹立した。樹立したノックイン細胞を全反射照明顕微鏡(TIRF)により観察し、exocyst複合体の細胞内挙動を詳細に解析した。その結果、exocyst複合体は小胞が細胞膜に融合する直前に複合体が解離する可能性が示された(論文投稿準備中)。現在、日本においてヒト乳腺オルガノイド培養ができるように計画を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CRISPR/Cas9によるsfGFPノックイン細胞を樹立し、ライブセルイメージング解析を行った事で、今まで不明であった哺乳類細胞内におけるexocyst複合体を可視化する事に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
ノックイン細胞株の樹立には細胞のクローニング化が必須であるため、樹立に時間がかかる。また、GFP挿入の影響により細胞増殖が抑制され、株化できなかったノックイン細胞が複数あった。これらの問題点から、複数の極性因子の解析するためには、ノックイン細胞樹立にさらなる工夫が必要である。現在、クローニング効率の向上を目的にGFPと薬剤選択の二重選択方法、融合タンパク質による機能障害の回避を目的にlinkerを挿入したノックイン細胞樹立を進めている。
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