研究課題/領域番号 |
17J40044
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
安藤(北尾) 公英 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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キーワード | レジオネラ / IV型分泌装置 / 病原細菌 |
研究実績の概要 |
レジオネラはヒトに重篤な肺炎を引き起こす病原細菌である。IV型分泌装置を使って約300の病原因子を宿主真核細胞に輸送し、細胞内ネットワークを多様な方法で攪乱することで宿主内で液胞(Legionella Containing Vacuole: LCV)を構築し細胞内増殖を達成する。IV型分泌装置は細菌が接合伝達のために獲得したものであるが、これがどのように病原因子を輸送しているかは不明である。レジオネラDot/Icm IV型分泌装置は、レジオネラ内膜と外膜のコア複合体の構造がすでに明らかになっているが、内膜に局在する複合体の構造や構成タンパク質についてはほとんど情報が得られていない。そこで、本研究では、レジオネラDot/Icm IV型分泌装置の部分複合体を含んだ全体構造の成り立ちを把握することを目的とする。特に、輸送機能の中核を担うATPaseを含んだ内膜複合体の構造及び機能解析に焦点を当てる。本年度は、レジオネラdot/icm遺伝子群にコードされる3つのATPaseが、IV型分泌装置の構築過程やタンパク質の輸送においてどのような役割をになっているのかを解析した。その結果、3つのATPaseのうちの2つが内膜複合体と同様にレジオネラの両極に局在することが明らかとなった。また、大腸菌を用いた生化学解析から、3つのATPaseのうちの1つがレジオネラ内膜に局在するDotIJ複合体と相互作用することが強く示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究から得られた結果は、これまでに受入研究者や他のグループによって得られた研究成果と発展的な繋がりを示す結果であった。本年度は大阪大学から岐阜大学への研究室移転とそれに伴うセットアップがあり、実質的に研究を開始できたのは平成29年6月末あたりからであることを考慮すると、研究の進捗は大きなものであったと言える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、今年度大腸菌で行った生化学解析を本来の系であるレジオネラを用いて行い、DotIJとATPase間相互作用の再確認を行う。また、DotIJ-ATPase複合体がコア複合体を含むIV型分泌装置の構成および機能にどのように寄与しているのかを明らかにして行く予定である。
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