研究実績の概要 |
本年度において,イギリスのInstitute of Cognitive Neuroscience, University College Londonに渡航し,Prof. Patrick Haggardのグループと共同研究を行った.1年目に計画されている「運動主体感の生起の時間特性の解明」に関する研究を遂行し,延べ300人分以上の行動実験および脳波実験データを集め,期待通りの研究が進展したと思われる.1年目の主な研究成果として,行動実験,脳波のevent-related potential(ERP),およびsteady-state visual evoked potential(SSVEP)という手法を用いて,運動主体感の生起が注意および知覚感覚処理に与える影響を調べた.これらの研究成果は運動主体感の生起の時間特性に解明に繋がると考えられる.さらに,運動主体感を獲得または喪失した際の知覚(i.e., 気づき)の時間特性を行動実験および脳波を用いて,研究を進めている.その成果として,Prof. Haggardとの共著論文を国際学術誌Journal of Cognitive Neuroscienceに発表した.そのほか国際学術論文2篇が査読を受けている. 具体的に,本年度では運動主体感の生起または喪失に引き起こされる注意及び知覚感覚処理の変化について,行動実験および脳波実験を用いて3つの研究を行った.研究1では運動主体感の生起または喪失が注意に与える影響を調べた.研究2では主に行動実験を用いて,連続的な動作で運動する物体をコントロールする際に,運動主体感の有無のカテゴリー特性,およびその有無が運動-視覚関連性の判断に与える影響を調べた.研究3では脳波のSSVEPという手法を用いて,運動主体感が知覚感覚処理に与える影響を調べた.
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