本研究は、ひとり親(母子世帯/父子世帯)の過酷な居住・経済的貧困問題が、住宅の安定供給にケアを付帯させることで良好な就労環境を整備しようとする仕組みにより大きく緩和されるのではないかというスタンスに立ち、わが国において成立しうる「住生活プラットフォーム型支援モデル」を提示することを目的として研究をすすめた。なお、本研究では、国内で萌芽的に実践されている住生活プラットフォーム型支援モデルの事例に学ぶが、その具体的な手法として、1)空間とケアを居住者同士でシェアすることで就労環境を整備しようとする、いわゆる「シェアハウス」と、2)住まい、就労、育児、コミュニティをパッケージ化して提供することで母子世帯の自立した生活を支援しようとする「地方移住支援」の2つを取り上げた。 シェアハウスについては、全国のシングルマザー向けシェアハウスへの調査を実施、家賃額、ケアの付帯方法という2つの視点から、ハウスのカテゴライズと課題抽出を実施した。なお、地方移住支援事業については、浜田市、幌加内町、兵庫県神河町において、複数回の訪問聞き取り調査を実施し、制度の流れを整理するとともに、課題の掘り起こしをおこなった。同エリアでは、シングルペアレント移住者への聞き取り調査も実施し、移住する側の課題、受け入れ側の課題について可視化することに成功した。 なお、3年目には、シングルペアレント移住支援を実施する全国の自治体(12カ所)への電話インタビュー調査を実施し、その実態と課題の把握を行った。
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